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夕日。
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坂口と別れてから、俺は光汰と並んで生徒玄関へ向かった。
「…光汰?どうしたんだよ、さっきからやけに静かだけど……」
俺が光汰の腕から脱出してから今までの間、一言も喋っていない光汰を下からのぞき込むようにして聞く。
光汰はぼーっとしていて、俺の声は全然聞こえていないみたいだった。
う~ん……。それにしても、こうして改めて近くから見ると、やっぱり整った顔してるよなぁ…。
黙ってればちゃんとイケメンなのに…。
少し伏せられた切れ長の瞳は窓の外のオレンジ色に染まった空の反射で不思議な色味をしていて、薄く開かれた唇は高校生らしからぬ色香を放っている。
明るい太陽の下で見る光汰はまるで光汰自身が輝いているかのように眩しい。
だけど、今の夕日に照らされた光汰ははっと息をのむほど綺麗に見える。
「…春ちゃん?」
名前を呼ばれて我に返った俺は無意識に光汰へ伸ばしかけていた手をぱっと降ろし、もう片方の手で強く押さえつけた。
……だめ、だ。壊しちゃ………また俺は…光汰を………。
「春ちゃん、大丈夫?」
急にふらふらと足元がおぼつかなくなった俺を支えて、光汰は心配そうに言った。
俺は何かを振り払うように軽く頭を振ってそれに答える。
「……いや、なんでもない。光汰こそ、さっきぼーっとしてたけどどうかしたのか?」
「えっ……あー…。その、言いにくいんだけど…」
「なんだよ」
「春ちゃん、昔に比べて随分ちっちゃくなったなーって思って。あと、いい香りが、っていたたっ!痛いからつねらないでよ~!」
「うるさい!俺が小さくなったんじゃなくて、お前がでかくなったんだよっ!」
そんな冗談を言い合いながら、俺たちは校門を出た。
その少し後。
校門の陰からこの高校の生徒ではないジャージ姿の三人が出てきた。
「…”春ちゃん”、ねぇ?」
「試合の時と全然雰囲気違うな」
「んー………ま、行こうぜ」
楽しそうに会話をする二人をつけるように、不穏な三つの影が動きだした。
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