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女?。
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光汰が課題をひいひい言ってやっているのを横目に、俺は光汰のベッドに寝転がって漫画を読んでいた。
しばらくすると課題が終わったらしく、のそのそとこちらへ移動してきてベッドにもたれかかってきた。
「俺はもう疲れたよパトラッシュ…」
「おー、お疲れ」
そう言って頭を適当にぽんぽんすると、光汰は飼い主に褒められた犬のように顔を輝かせてすり寄ってきた。
どちらかというとお前がパトラッシュだろというつっこみは口に出さずに、ちょうど読み終えた漫画を閉じて仰向けに寝転がる。
目を閉じて息を吸うと幼い頃からずっと隣にあった香りが俺を包む。
「ふー……なんというか、落ち着くな。お前の部屋」
「え、と……春ちゃん。それってどういう…」
「あれ?そういえばもうこんな時間だけど、おじさんとおばさんは?」
なぜかきょどっている光汰をスルーしてふと疑問に思ったことを聞く。
もうそろそろ春も終わりだからか、最近はだんだんと日が長くなってきている。
今も外はまだ夕方ぐらいなのに時計を見るともうすでに7時を回っていた。
いつもなら今頃の時間になると共働きをしている光汰の両親が仕事から帰ってくるはずだ。
「あー、父さんは今日からしばらく出張で、母さんは春ちゃんのママさんと出かけてるらしいよ。あれ、聞いてない?」
「いや、何も聞いてない…多分、スマホに連絡来てるとは思うけど………んー。なぁ、光汰」
「なに?」
「今日、このままお前の家泊まっていってもいい?」
「へっ!?は、春ちゃんが、ここにっ!?」
「?うん。だめか?」
そう首をかしげて聞くと光汰が何かにむせたように息を詰まらせた。
「っん”ん…!いやっ、もう遅いし、さ。帰った方がいいんじゃない…?その、俺の理……がも……」
最後の方はぼそぼそしていてよく聞き取れなかったが、俺は納得がいかなかった。
「なんでだよ。昔からしょっちゅう泊まりに来てただろ」
俺が責めるように光汰の目の前にずいっと顔を突き出すと光汰は顔をそらしながら言った。
「それはそうなんだけど…ほら、結構久しぶりだし、俺にもいろいろあるし?……は、はは…は……」
「………女か」
「……へ、?」
「彼女が来るんだろ?そりゃそうだよな。光汰、格好いいもんな。女子たちが放っておく訳ないし」
「え、いや、春ちゃん?」
「…俺、帰る」
「えっ、ちょ、待って春ちゃん!そんなのじゃないって!」
必死に追い縋る光汰の言葉を無視して立ち上がる。
自分の荷物を持って廊下へ出ると、それを追ってきた光汰が俺の手首を掴んだ。
「っ!痛っ…」
いきなり強い力で掴まれて思わず声を上げるとそれに怯んだのか光汰の手が緩む。
俺は隙が出来た光汰の手を振り払って、逃げ出すように走った。
「春ちゃん……」
ドアを閉める瞬間、俺の名前を寂しそうに呼ぶ光汰の声がきこえたが、俺は聞こえなかったふりをしてそのままドアを閉めた。
もう光汰は追ってこなかった。
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