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衝撃。
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………………何やってんだろ……俺。
外に出てみたものの、なんとなく家には帰りたくなくて俺は近所にある公園のブランコに腰かけていた。
いや、本当に何やってんだよ……。
光汰は俺と違って部活後だったから疲れていたはずだ。
光汰にだってプライベートがあるし、いくら幼馴染だからって俺にとやかく言う権利はない。
それに、もし本当に彼女ができてたらこんな風に毎日俺と一緒にいる訳ない、よな…。
冷静になって考えれば考えるほど思い知らされる自分の身勝手さに気が重くなる。
”謝らないと”
そう思うが、一体どんな顔で光汰に会いに行けばいいのかが分からない。
だいたい、何で俺あんなに怒ってたんだ?
秘密にされてたから?
幼馴染を取られた気がしたから?
いくら考えてみても分からないし、思い浮かぶのはどれも子供じみた幼い独占欲にまみれたものばかりだった。
どうして……素直になれないんだろう。
もう何度目かも分からない自己嫌悪のため息を吐きながら思い出す。
入学式から数日経った頃のことだった。
最初の席が偶然にも隣同士だった俺と坂口は妙に馬が合い、クラスの誰よりも早く友達になった。
関わっているうちに坂口は話し方や行動はいちいち軽いし適当だが、本当はすごく真面目なやつだということが分かってきた。
”信頼できる”
そう感じた俺は”あの時”からずっと心の中に居座っていた思いを少しだけ打ち明けた。
素直になりたい、強くなりたい────。
せめて、俺を助けてくれた大切な幼馴染を守れるくらいには。
さすがに、幼い頃に俺と光汰の身に起きた出来事は伏せておいたが、出会ってたった数日の人間にする話としては重いものだった。
でも、坂口は決して流したりせず、少し考えるようにして どうすればいいのかは自分にも分からないが、と前置きをしてから。
それでも協力したいし、応援もする。とあたたかい言葉で受け止めてくれた。
そのことが俺にとってはすごく嬉しくて、努力しようとも思った。
なのに。
坂口が応援してくれているのにも関わらず、俺は今ここにいる。
「はぁ……。早く改善しないといい加減縁切られるぞ、本当に………あぁ~、消えたい……」
「あの~、すいませーん」
「あ、はい……?ッ、!!!!…………」
誰かに声をかけられたと思った次の瞬間。
強い衝撃が頭を襲い、俺はブランコから落ちてその場に倒れ込んだ。
「へぇ~、意外とかーわいい顔してんじゃん」
「本当にこいつで合ってんだよな」
「さっきあいつの家から出てきたの見たし、間違いないだろ。そんじゃ運ぶかぁ~」
薄れていく意識の中で俺が最後に聞いたのはそんな言葉だった。
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