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動揺。 *坂口side*
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「ん………なんだ?」
その日、その道を通ったのは偶然だった。
家に帰ってもどうせ一人。
いつもならどこか寄り道をして帰るところを、今日はなんとなく疲れたのでまっすぐ家に向かって歩いていた。
薄暗い道を進んでいると、誰かの…何かを叫んでいる声が遠く聞こえてきた。
不審に思い聞き取ろうと耳をすませながら歩いていると、その声は男のものであることが分かった。
「男にしては高いな…高校生か?…………え、なんか嫌がってる?」
そのまま歩き続けていると、どうやら問題の声は目立たない一本の路地裏からしているようだった。
「なんか……どっかで聞いたことあるような声だな」
少し気になってそっと路地裏の奥を覗いてみる。
「………………は、…え?…」
自分の見たものが信じられなくて何度も見直すが間違いない。
「杉、野…?」
複数の男子高校生に囲まれている杉野はそいつらに暴力を振るわれながら下を弄られ、周りは全員杉野に欲情しきった表情を向けている。
「い、やだぁっ……!!!っあ……んっ、はなっ…せ…!!」
……おそらく薬を飲まされているのだろう。
杉野は動かない身体の代わりに必死に口で抵抗していたが、目には明確な恐怖の色が浮かんでいた。
”どうにかして助けないと”
直感的にそう思ったが体が言うことを聞かない。
助けるといっても、一体どうやって?
向こうは複数人で部活も運動部なのだろう、部活指定に見えるジャージを着ている。
対して自分は一人。
生まれてこの方運動らしい運動なんて体育ぐらいでしかしたこともないし、喧嘩なんてなおさらだ。
震えだした手に情けなさを激しく感じていると。
「こ、ぉたっ………ぃやだ……こうたっ!光汰ぁ………!!」
必死に幼馴染の名前を呼ぶ杉野の声が聞こえてきた。
そうだ……杉野は俺なんかとは、違う…傷ついたら悲しむ人がいる。
汚しては……いけない。
そう思った瞬間、俺は自分の鞄からスマホを取り出し何枚か写真を撮ると深呼吸をして路地裏へ踏み込んでいった。
「おい、そこで何やってんだ」
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