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後悔。 *光汰side*
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春ちゃんの部屋に明かりがついて、無事に帰ったことを確認してから手早く風呂に入る。
「うわ…さっむ」
一人になってから急に冷え込んだ廊下を進み、自分の部屋に行く。
ふと窓の外を見ると春ちゃんの部屋の明かりはすでに消えていて真っ暗だった。
「おやすみ…春ちゃん」
そう小さく呟いて、自分も寝ようとベッドに潜り込む。
「はぁ…危なかった。さすがにばれたか…?いや…まあでも、とりあえず今日は乗り切れたわけだし……大丈夫、なはず。…にしても、よく耐えたよなぁ、俺……」
風呂上がりの姿も裸も、もう何度も見てきたはずなのに久しぶりだったせいか破壊力が凄まじかった。
いや、なるべく見ないようにはしてたけど…!
乾かし切れていない襟足がぴたりと張り付いた首筋は無防備に晒され、華奢な身体はあたたかい湯に浸かったおかげで血色が良く、ほんのり桜色に染まっていた。
本当、見たのが俺じゃなかったら今頃どうなってたか……。
…ただ。
そんな春ちゃんの綺麗な身体には、痣こそ薄いものが1、2個ほどしかなかったが、擦り傷が…恐らく本人は気付いていないであろう箇所にも無数にあった。
春ちゃんをこんな状態にした奴らにはもちろん腹が立ったが、同時に”春ちゃんを守れなかった”という事実を目の前に突き付けられているようだった。
その上。その痛みを必死にこらえ、自分の方が大きな怪我をしているにも関わらず俺のことを心配する春ちゃんがあまりにも健気で…見ているこちらの方が辛かった。
だからなのか、
そんな様子に耐えきれなくなった俺は、気が付いたら春ちゃんの細い肩に腕を回してしまっていた。
抱きしめた時の春ちゃんは子供の頃、俺が退院して泣きじゃくる彼にそうした時と比べて自分の成長故かより小さく、より華奢に思えた。
「ちゃんと…抵抗、してよ。でないと本当に……」
勘違いしてしまいそうになる。
春ちゃんは今も、俺のことを『手のかかる幼馴染み』としか見ていない。
大方、俺が抱きしめたこともただじゃれているだけだと思ったから振りほどくこともしなかったのだろう。
「分かってはいたつもりだったけど…結構きついな~……」
…好きな人に意識されないのはつらい。
ましてや恋心を自覚してから約10年…普通これだけ進展がないと諦めてもおかしくないだろう。
「でもなー…。あんな反応されたらさー……。嫌でも期待するだろ…?」
今までならきっと、服を脱いでと要求をしてもあっさり脱いでくれたはずだ。
春ちゃんはそういう所も含めて本当、男前なんだよなー…。
でも
今日は少し…ていうかかなり迷っているようだった。
あれは…俺を意識していた……?
たとえそれが俺の望む”意識”の理由でなくても。
いつもとは明らかに違う反応にどうしようもなく期待してしまう自分がいる。
「これだから春ちゃんは…!あぁーもう、俺チョロすぎかよ…………本当、なんで俺あんなこと………」
完全に無意識だった。気が付いたら口から出てしまっていた。
「はぁ…悔やんでももう遅いか……。ううん、早く寝よ…」
そうため息を吐くと、俺は身じろぎをして固く目を閉じた。
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