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いない朝は。
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置いて行かれるのは嫌だ
俺も光汰に追いつきたい
本当は……皆から好かれるような―――そんな存在になりたかった
でも俺には、その才能はないから
なんでも持っている光汰が………羨ましい
「……杉野?」
「あ…ご、ごめん。ぼーっとしてた…えっと、何だっけ?」
「うーん…まぁなんとなく分かるけど。でも俺は、杉野の方が羨ましいかな」
「えっ、何で?」
「それは”ひ・み・つ♥”ってな~。まぁあれだ、昼になれば大宮も来るだろうし。そんなに寂しがることないって」
「だ、だからっ!寂しくないって言ってる!!」
坂口のカッターの襟を掴んで前後に揺さぶりながら抗議するが、本人はそんなこと全く気にせずはいはい、と笑いながら俺をなだめ、トイレに行ってくると教室から出て行ってしまった
「全く…何なんだ。……というか、また俺ごまかされたんじゃ…?」
結局、俺のどこが羨ましいのか教えてもらえなかったな…
少し落ち着こうと自分の席に座って賑やかな窓の外を眺める
どこの部活も大会前だからか、目を閉じて耳を澄ませると運動部の気合の入った掛け声と、遠くからは吹奏楽部の生徒がなめらかに音階を吹く音がかすかに聞こえてくる
朝のゆったりとした風を頬に感じて目をゆっくりと開くが、その爽やかさにふさわしくない心の陰りを感じまた少し伏せる
「静か………だなぁ……」
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