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そして廊下。
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何にしても病院が休みなのは知れて良かった…坂口がいなかったら危うく無駄足を踏むところだった。うん…ぁ…でも光汰には何て説明しよう……。
路地に行くには光汰をどうにかして撒かないといけないし、寄る所がある―――だけじゃ、怪しまれるかもしれない…。
俺がうんうん唸りながら考え込んでいると、軽快な足音と共に光汰が走ってきた。
「春ちゃーんっ、授業お疲れ様~。いつも通りこれから部活だけど、春ちゃんは今日病院に行くんだよね?」
「えっ、あ……あぁ」
「じゃあ今日は帰るの別々か~…。あ、そうだ。俺、今朝みたいに大会終わるまでは一緒に登校できないや。あと、帰りも当分遅くなると思うから先に帰ってて?じゃ、お大事にね、春ちゃん!」
「ちょ、!?光汰っ………って、もうあんな所に……」
こちらの返事も待たず用件だけ告げるとさっさと部室棟へ走り去ってしまった光汰を見送りながら俺はしばらく呆然としていたが、何人かの生徒がすれ違いざま不思議そうにこちらを見ているのに気付いてはっとする。
咳ばらいを一つして何事もなかったように自分の教室に戻り、教材をスクールバッグに詰めながらも、俺は内心拍子抜けしていた。
あの光汰が…駄々も捏ねずに部活に行くなんて……。
突然すぎる変化に動揺してしまったが、とりあえず光汰は俺が今日、一人で病院に行くと思っていることに安心する。
良かった……これで光汰に余計な心配を掛けずに行動できるな。
俺は教科書やノートですっかり重くなったスクールバッグを肩にかけると、よしっ、と気合を入れ直してあの路地へと向かった。
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