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「えー。なんだよいいじゃんちょっとくらい見せてくれても!」
「ね、別に減るもんじゃないし。明日休みだし、良いでしょ?」
「ダメ、絶対ダメ。」
案の定、今日俺の家に押しかける流れになってしまった。
真緒だけでなく、灯までもが猫を見たいと言い出す始末で……。
灯も真緒と同様に付き合いが長いので、俺が人を家に呼ぶのは好きではないことをよく知っている。
普段は真緒の家に集まることが多く、2人が最後に俺の家に来たのはもうずっと前のことだ。
だが、今はそれ以上にルナをあまり見せびらかしたくないという気持ちが強かった。
ルナは俺だけが飼ってるのではない。元はといえば安藤が拾い、俺が預かっているだけなのだから。
それを自分のペットのようにひけらかすのは違う気がする。
安藤の許可もなしに、そのような振る舞いは良くないと思う。
「……今日はマジでやめて。まだチビだからあんまり体調良くないんだよ。飼い始めたばかりだからってのもあるし、あんまり刺激になるようなことはしたくない。」
「んー……まぁ、そういうことなら仕方無いね。」
咄嗟についた嘘だったが灯は信じたようで、そうなると真緒も折れざるを得なくなった。
その場をなんとか切り抜け、ほっと安堵したのもつかの間。
2人が俺の席を離れたタイミングで、後ろから背中をつつかれる。
「ルナ、具合悪いの?」
先程のやり取りを聞いていたのだろう安藤が、不安そうな表情でそう訪ねてきた。
ここにも騙された奴が1人いたようだ。
「あれ、ウソだよ。めっちゃ元気。押しかけられたら面倒だから適当に言っただけ。」
「そっかぁ……良かったぁ、」
だから、なんでお前まで騙されてんだよ。
安藤の単純さがツボに入り、肩を震わせて笑っていると、背中を控えめに叩かれる。
どうやら笑われたことでバツが悪くなったようだ。
安藤が喜怒哀楽を見せたのが意外で、驚き半分。面白さが半分。
もっと安藤を知りたい。たくさん話をしたい。
そう思うくらいには、安藤に対して興味がわいた。
--だから、気まぐれだった。
『ルナ、見に来る?』と書いたノートの切れ端を、授業中にさり気なく後ろの席に置いたのは。
安藤はそれを見て少し迷ったようで、俺の机の中に返事が入っていたのに気が付いたのは昼休みを挟んで5限目の授業の時。
消し跡が残った紙には一言、『行きたい』と書かれていた。
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