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午後は帰らせていただきます
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――桃原桂、十六歳の梅雨明けは波乱になりそうで怖い。
なんて心の中でつぶやき、目の前の美人に口をあけっぱなしにしていた。
この世の中に美人に近い美人が普通にいていいんだ?(興奮……してんのかな?)
てゆうか美人に近い美人ってなんだ?と自分の言葉に自分で疑問を持ちつつ、いわゆる穏やかなイケメン?を凝視していた。
「……んだ、そんな見つめるな、庶民が」
……前言撤回。
こんな上から目線の言葉を吐く奴が穏やかなイケメンなはずがない。少なくとも俺はそう思っている。
てゆうか見つめてねえし、さっきまでそこにあったゴミがイケメンになってんじゃねーしっ!!
「庶民庶民ってさっきからっ!た、確かに庶民だけどっ!もっと言葉を柔らかくしてほしいってか……?」
やばい、ミスった。庶民を柔らかくした言い方なんて俺だってわからないのに。
くしゃくしゃとタオルで頭を拭きながら俺をにらみつけてくるが、一見優しそうにみえる男。
「庶民以外の表現以が…ぃっつ!!何しやがる、ベルホントっ!!」
先ほどまでのんびりと日向ぼっこしていたはずのベル君が飼い主の足にかみついている。
そうだそうだ、ベル君やっちゃえっ!と思う汚い俺の心を許してほしい。
「ま、そんなんだからベル君にも嫌われるだよ。ベル君、おいで」
へっと鼻で笑って渾身の返しを済ませたところで大きな活躍を見せてくれたベル君を呼ぶ。
すると、ベル君はワンッと可愛らしい声で(甘えた声にも聞こえる声)俺の胸元に飛びついてきた。
「なんだ、お前にはなついているのか」
そんな様子を見て驚きを交えながらもかんしんするような態度をとったいけすかない男。
そしてその男はあり得ないことを口にする。
「ちょうどいい、お前、俺たちの世話係になれ」
と言ってきたのである。
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