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逆らえない
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あれから義彦さんはだいぶ変わった。
変わったというのは、性格的にも態度的にもってことである。
というのも、
「お前、ふ、ふざけんなぁ!!」
俺は最大にピンチだ。
ピンチって言うのは、嬉しいピンチとかじゃない。やっぱりピンチってもんは危ないものだ。
「ん、なんで?」
調理中の俺に後ろから襲ってきた誰かさん。
その誰かさんとは言うまでもなく1ヶ月前から同居をしている近衛義彦、年齢不詳の男である。
「なんでってお前…、くそっ、可愛い顔してんじゃねーっ!」
後ろを振り返れば、おなかをすかせた幼顔。意外とこいつ、かっこかわいい顔、しているからこう言う顔されると俺も弱い。
「へぇ、俺の顔可愛いんだ?どう、こーふんする?」
にやにやしながらぎゅーっと抱きしめてくる。
いつからこんなエロいこと、言うようになったんだと思ったが、最初からだったと思い出し、呆れたようにため息をつく。
「こーふん!? し、してねぇよ…っ」
実際には少ししてたなんて内緒だからなと心の中で叫び、調理を続行する。
てゆうか、抱きしめるのやめてほしい。気が散るし、何より邪魔。
「ふぅん、でも体は正直だね」
クスッと笑いながら俺の体にぺたぺたと探るように触ってある部分にたどり着いたらにやっとしながら言った。
「ちょっ、ぁ……触んなっ!」
くそぉ、調理中なため、大きく抵抗できないのを知っててこんなことするなんて卑怯だと思いながら肘で腹を押し返しながらこいつのもっとも効くあの言葉を口にする。
「……飯つくねーぞ」
脅しをかけるように低い声でかっこつけながらそういうと、びくっと後ろの手は反応する。
そう、彼は飯を作らないという言葉に弱い。なぜなら俺の世話が無ければ、初めて会った当時と同じような状況に陥る。
「す、すいません。すぐに離れます、近づけません、触らない」
おびえた犬のようにしっぽをしゅんとさせたようにしながら俺からさっと離れてキッチンから退く。
そんな様子を見て俺は不敵に笑う。
――そう、彼は絶対に俺には勝てない。
その確信があるからこそ、俺は同居をしてやってる。だって嫌いとか言っても無駄な彼が俺の『飯』には反応するんだから。
正直言って面白い。彼との同居は飽きがこなくてずっとやっていけそうだ。
口元に笑みを隠しながら俺は料理を済ませて彼らに食事を与えたのだった。
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