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嫉妬か、義彦さん 2
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嬉しそうにしながらかけてくる義彦さんはまるで犬のようで可愛い。
リードを引きながらベル君と共に俺に抱き付こうとした瞬間、俺の隣にいる男に気が付く。
「……誰だ?」
俺たちの一歩手前で立ち止まった義彦さんは険しい顔で理仁を見て言う。
その声はいつも以上に低くて、厳しい声だった。
「あ、義彦さ…「桂は黙ってて」
紹介しようと思ったら制されてしまった。
なんだよ、誰だって聞くから紹介しようと思ったのにと悪態をつきながら、義彦さんを見る。
「なんで手つないでいる?なんで桂は嬉しそうにこいつと話しているんだ」
手……?と首をかしげると、いつの間にかつながれた手が目に入る。
いつの間に!?と思って理仁を見ると、理仁も厳しい顔をしていた。
「……それは桂が俺の恋人、だから」
真剣なまなざしで義彦さんを見据えながら言った。
「そうそ……えっ!?」
てっきり友達と紹介されるのだと思っていたからかなり驚いた。
「桂は、俺の奥さんだっ!人妻を取るんじゃない」
義彦さんは俺の片腕を取って俺を連れて行こうとするが、俺、あんたの奥さんになった覚えないよと心の中で小さく反抗する。
「これから桂とデートなんで、邪魔しないでくれない、おっさん」
義彦さんがつかんでいるところをパチッと叩くと、そう言い放って俺を抱き寄せる。
俺を引き離されたときの義彦さんの顔が、妙に寂しそうで、なんとなく守ってやりたいという衝動に駆られる。
「あ、え、っと、理仁。俺、お前とデート行かないよ?」
でも、ずんずんと俺の腕を引っ張って前を進むので、俺と義彦さんの距離はどんどん離れていく。
悲しそうに眉を提げて肩を落としている義彦さんに思わずきゅんとして、俺はわけもわからない約束を断った。
「なんで?桂、見たい映画あるって言ってたでしょ?」
なんで?と勢いを交えて聞いてくる彼の姿が怖いが、それでも勇気を出して言ってみる。
「俺、義彦さんの世話係だから。義彦さん、俺がいないと、食っていけないんだよ、生活していけないんだ」
と言いながら理仁の手をどけた。
今日、俺がどっかに遊びに行っている間、義彦さんの夕飯がきっと作れなくなってしまう。
それに今日はタイムセールなんだ、急いでいかないと。
「そんなの、お前に関係ねえじゃん」
とぼそっと理仁が言うのが聞こえるが、無視することにする。
「そろそろいかねえーと、じゃあな!気をつけろよ」
笑顔をちゃんと見せながらバイバイと言って、義彦さんにかけていく。
「お前はいっつもそうだ……。俺なんかの気持ち、わかっているようでわかってない」
遠くの方で楽しそうにおっさんとはなす桂を見つめてから自分の家へと帰っていく。
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