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春**01**
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君と過ごす日々は本当にあっという間だ。
朝の日差しを浴びながら、
君は美しく笑う。
まるで輝いているかのように…。
「大地。俺がいなかった間のこと、いっぱい話してよ」
輝く君を見て目を細める。
「…君が去った春に、僕は一人の女の子に出逢ったんだ」
********************
「あのー…」
恐る恐るといった声が響いた。
暖かな日差しの中、僕の心はひんやりと冷たくなっていた。
…だって、君とまた離れなければならなくなってしまったから。
「…なんですか」
無愛想にぽつりと言葉を返すと、
彼女は君と良く似た笑顔を放った。
そう、暖かくて美しくしい、その笑顔。
僕は思わず彼女に魅入る。
「いつも、春になると悲しそうな顔をしていますよね?」
彼女の桃色のワンピースがひらりと舞う。
「…ええ」
僕のその淡々とした言葉に飽きもせず、
彼女は続ける。
「いつも、気になってたんですよ、私」
いつも…そう、いつも僕は暖かくなり始めると陰鬱になるのだ。
「ほっといてください」
ぽつりと漏らし、僕は彼女から目をそらす。
…君に似た微笑みに、
思わず涙が零れ落ちそうになったから。
「…理由は聞きません。…けど、これから話しかけてもいいですか?」
友達になりましょう。
甘い香りが鼻をかすめ、
気が付くと彼女はもうそこにはいなかった。
*******************
「へぇ、それで、どうなったの」
優しくたずねられ、僕は続ける。
「…それからね…」
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