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「いい子だ」
男はオレの頭を撫でながらそう言った。
「……アンタは誰なの?」
やっと出た言葉は、少し掠れていたと思う。
「俺は白石雪夜(しらいし ゆきや)19歳。白い石に、天気の雪と夜でユキヤな」
「白石さん?」
「俺は青月光の高校からの同級生。今じゃ腐れ縁。俺がお前の名前を知ってんのも、光がお前の話をよくするから」
「兄ちゃんの高校の同級生?」
兄ちゃんの同級生と聞いたオレは安心して、フリーズしっぱなしだった頭をすこしずつ動かしながら、白石さんの話を聞く事にした。
「そう。でも光の家に来るのは高校以来で、今日が2回目。前に来た時は光の部屋がこっちだった気がしたから、オレはこの部屋にいた」
「オレが……中学上がる時に、桜が見えるこの部屋がいいって、兄ちゃんに言って替えてもらったんだ」
「なるほどな。光の趣味が変わったのかと思ったわ。光に家に行くって連絡したら、俺は外出中だけど、家の鍵はポストに隠してあるから、勝手に開けて部屋に入っててと、連絡がきた。だから勝手にお邪魔した」
「……兄ちゃん、酷過ぎ」
「お前の兄ちゃんが普段どんなヤツかは知らねぇーけど、俺に対しての光は常にこんなんだぞ」
「兄ちゃん、オレには優しいもんっ」
兄ちゃんって、友達にはそんなに優しくないのかな?そういえば兄ちゃんが友達の話をする事ってあんまりないかもしれない。
白石さんの事も兄ちゃんから話を聞いていれば、こんな事にならなかったのに……。
大好きな兄ちゃんに隠し事をされていたみたいで、なんかショックだ……。
「あんさ、話続けていい?」
兄ちゃんの事を考えてたら、オレはすっかり白石さんの話を聞いている最中だってのを忘れていた。
「あぁ、ごめんなさい。どうぞ」
「……んで、この部屋入ったらまだ春なのに、やたらと暑くて、とりあえずシャツ脱いで涼んでた。暇だったから煙草吸って桜眺めてたら、お前が部屋に入ってきたワケ」
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