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堕ちる 1 (シローside)にしおりをはさみました!
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堕ちる 1 (シローside)
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「ん……」
部屋の景色が違う……?
高い位置にある天井には、見覚えがあった。
ハッとして起き上がったが、何も身につけていない己に気づき、とっさにシーツを身体に巻きつけた。
「……っ」
昨夜もまた、主と……。
「なァに首真っ紅にして、照れてンだよ」
長椅子に寝そべり、羊皮紙でできた厚い本を読んでいた主が、呆れたような視線を送ってきた。
毒のように脳を揺らす甘い声に、ズクン……と起き抜けの身体が熱を持つ。
「……っ」
「勃ったなら、ヌイてもイインだぜ?」
「部屋に戻ります……!」
シーツを身体に巻きつけたまま起き上がれば、
「戻ってもいいが、ソレは置いてけよ?」
「……っ」
「……オレのまえでは何一つ隠すのは許さねェ」
「そんな……っ」
はァ……と主が深く息をつく。
「……オマエが寝ちまったせいで、昨夜は結局、満足できずじまいだ」
「申し訳……ありませんでした……っ」
「燻る身体を抱えながら、寝れねェまま夜通し本なんざ読まされたこっちの身にもなってみろ。はしたなく昂ぶった身体をさらすくれェのバツは当然、受けるべきだよなァ……?」
「……っ」
「部屋に戻ったら服は着てかまわねェが、抜かずに夜までそのままでいろ。勝手に出しやがったら……わかってンだろーな? 根元を縛ったまま、朝まで空イキさせてやっから、覚えとけよ?」
当然寝落ちンのもナシだと釘を刺され、目の前が真っ暗に染まった。
「……なんか文句あンのかよ?」
「ありま……せん」
主の命令は絶対だ。
理の通らないことなら反論の余地もあるが、今回ばかりは完全に自分に非があった。
主を残したまま寝落ちるなど、言語道断。
満足させずに床に就かせたとなれば、解雇を言い渡されても文句は言えない。
どれほどひどく弄ばれようと、耐える他なかった。
固く握り締めた指の力を抜くと、身体から布が滑り落ちる。
はしたなく昂った己のものに、主の容赦ない視線が降り注ぐ。
……見られている。
ただそれだけで、まるで愛撫でもされているかのようにひくつき、より一層熱く
固くそそり勃ち、蜜を溢れさせてしまう。
もはや気を失いそうなほどの羞恥に震えた。
不意に主が立ち上がり、地面に落とした視界に影が指す。
するりと手の甲で先端を撫でられ、息を詰めた。
グッと腹の底に力を込めて耐えたが、危うく放つところだった。
「戯れは……っ」
やめてくださいと腕を取ったが、面白がった主の悪戯は止まらない。
輪の形にした指で先端をさすられると思わず、
「ぁ…っ」
と声が漏れた。
「オマエはちょい、カンジやす過ぎだ。……少しはココも鍛えとかねェと、いざって時に困るだろーが」
「……っ」
「せっかくイイモン持ってンのに、宝の持ち腐れだ」
それこそ、いらぬお世話だ。
自分は主以外、欲しくない。
「こんな風に……喘がされる側ならば、感じやすくとも問題はない……でしょう……っ?」
「まぁなァ。……だが、本気でオレを満足させてェなら、いずれはコッチも磨いてもらわねェとなァ」
「……は?」
「せっかくオトコ同士なんだからよ、受ける側も楽しませろや」
「受ける……?」
「察しが悪ィな。だから、コイツでよ」
と、いきなり猛ったものの根元を強く握られた。
「……っ」
「オレを貫いてカンジさせろ、っつってンだ」
「……っ!?」
ようやく意味がわかるなり、今度こそ絶句した。
自分が主を……?
……ありえない。
「……ンだよ、主の望みは絶対なんだろ?」
主から、普段とは違う種類の艶が香る。
心持ちアゴを上げ、斜めに見下ろしてくる視線の妖艶さに、ズクンと主の手の中の欲望が疼いた。
「おっ、ヤる気じゃねェか」
「舌舐めずりするのは、やめてください……!」
「るせェな。テメェのモンをどう使おうが、自由だろーが」
再びゆるゆると扱かれ、あまつさえ自分のものだなどと言われては、こらえるなど不可能だった。
せめて主を汚すことだけはすまいと、己の先端を手の平で覆いながら、腰を突き上げて果てた。
昨夜主にさんざんしぼり取られたせいか、色の薄い液体が手の平からこぼれ落ち、カーペットに吸い込まれていく。
「……もったいねェなァ」
手の平に残った残滓を舐め取りながら、主が冗談ともつかない声音でつぶやいた。
「……まァ、どっちせよ、今じゃねェ」
妖しげな空気を消し去ると、一転して興味を失ったように、主が再び読書に戻っていく。
朝なのに、夜よりも色濃い闇に包まれた部屋で、喪失感を抱え、立ち尽くす。
どれほど手を伸ばしても届かない。
甘く濃密な闇に沈む主の秘密を聞けたなら。
少しはこの胸の痛みも軽くなるのだろうか。
もはやこちらを見もしない主に頭を垂れると、言いつけ通り、全裸のまま静かに部屋を後にした。
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