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告白にしおりをはさみました!
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告白
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* * *
「カミュ、愛しています。ワタシと…付き合ってください。」
そう言われたのは今から約一ヶ月程前の事だった。
自室のソファで文献に集中していると、突然「話がある」と俺の横に立ち、告白をしてきたのだ。
最初は何の冗談かと思ったが、愛島の真剣な表情に、それが本気なのだということはすぐにわかった。
しかし、俺は愛島をそういう目で見たことはただの一度も無く、先輩・後輩という関係で止むを得ず共に過ごしている程で、付き合う等、到底あり得ない話だった。
そもそも、俺は愛島に対し、決して優しい態度は取らない。
むしろ、馬鹿な猫を飼っているくらいにしか思っていない為、毎日馬鹿にしている。
そんな俺を好きだという愛島は、どこか頭がおかしいのではないかとさえ思ってしまう。
「この俺が、貴様と付き合う…だと?ふん、笑わせるな。」
俺は鼻で軽く笑うと、虫のように手で追い払い、再び文献に目を戻した。
「ですが…」
「大体、俺は男だ。男に恋愛感情など抱かぬ。…最も、この俺に恋などと言う感情自体、不要だがな。」
そう、俺にとって、恋愛感情など、全く不要の産物だった。
子孫繁栄の為に結婚をするのは致し方ないとしても、同性同士で交際をする等、何の意味があるのか理解不能だ。
しかし、愛島はいつにも増してしつこく食い下がってきた。
「では、せめてキスだけ…。アナタとキスを一度だけ、させてください。それで、諦めます。アナタへの想いは封印します。」
ふざけるな、と最初は思ったが、キスだけであれば、過去にドラマ撮影等で見知らぬ女優とした経験もある。
それに、キスをしたからと言って特にこちらに大きな害がある訳でもない。
たった数秒の行為を我慢するだけで今後愛島がつきまとうことも無く諦めると言うならば、メリットのほうが大きい。
数秒迷った結果、俺は愛島の案を了承した。
「…よかろう。ただし、一度限りだ。それで俺への気色悪い感情は捨てる事だな。」
「…わかりました。」
愛島は一瞬嬉しそうな顔を見せたが、その後少し悲しげな表情を見せ、俺の横に座った。
ただキスをするだけだと言うのに仰々しく、ゆっくりと俺のほうを向いてみせた。
そして俺の肩を軽く掴み、じっと俺を見つめてきた。
その時、初めて愛島の顔を間近で見た。
長いまつ毛、深みのあるエメラルドグリーンの瞳、端正でエキゾチックな顔立ち、艷やかな髪…。
こんなにも、美しい顔をしていたのかと今更ながらに気づき、目が離せなかった。
少しずつ、少しずつその美しい顔が俺へと近づいていき、何故か俺の心音が高まっていくのを感じた。
あと数センチまで近づいた時、愛島が軽く微笑んで、小さな声で囁いた。
「カミュ、目を閉じて…。」
「わ、わかっている…!」
愛島に言われてようやく我に返り、ギュっと硬く目を閉じた。
するとより一層低く、甘い声で、愛島が囁いた。
「カミュ、…愛しています。んっ…。」
熱く、少し乱れた息が俺の唇にかかったかと思うと、愛島の唇が俺の唇に重なった。
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