アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
はるのお店にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
はるのお店
-
「ありがとうございました。」
頭を下げたまま腕時計を見ると18時45分を指していた。
(あっ!!もうこんな時間!)
雄大は急いでレジから離れ、商品整理をする西川に寄って行った。
「西川ちゃん、レジお願いしていい?」
唇も頰っぺたも桜色に塗られた西川が顔を上げた。
「えっ?何で?」
「いや…僕、ちょっと…倉庫に…」
雄大はあたふたと裏口を指差した。
「倉庫?」
「う、うん。あっ!桜商品補充してくるから!今売らないと…ね!」
納得できない顔をした西川を置いて、雄大はすでに歩き出していた。
「ちょっ……」
西川を交わして急いでいたところで…
「ちょっと、いいかしら?」
(アイターーー!)
雄大はダッシュして逃げ去りたかった。
「は、はいっ!」
「あの、これね。このカレー皿。あともうちょっと深いのないかしら?」
振り向くと年配のごちゃごちゃと色んな装飾品をつけた女性が、1番高いカレー皿を指差していた。
(まだ来ませんように!)
「こちらですねー。」
雄大は心の中で祈りながら、営業スマイルを作った。
「そうですねー。こちらなんていかがでしょう?」
「それは小さすぎるわ。あとそのこグラスはどこ製の?」
年配マダムはあれやこれやと言って、中々商品が決まらなかった。
雄大ははぁはぁと笑いながら、手に汗を握っていた。
「これはココがイマイチ。」
「そ、そうですか…」
(早く!早く決めてくれ!てか何でこんな時間に!?)
「これ、もう少し安くならない?」
「これはセール商品なので、その額が精一杯でして…」
「あら?そうなの?ランチョンマットはある?」
雄大はがくんとなりながら、下の棚を手でさした。
「あっ、こちらに…」
屈んだマダムの後ろから黒いスーツの加藤が現れた。
加藤はニコニコ笑い、小さく胸の前で手を振った。
「あっ…」
「ん?」
マダムが顔を上げたので、雄大は首を振った。
「いえっ!あっ?どうですか?」
「う〜〜ん?もっと上品なマーブル柄とかないの?」
「?ま、マーブル…ですか?」
ちらりと横目で加藤を見ると、今にも口笛を吹きそうな楽しそうな顔で辺りをウロウロして、商品を見ていた。
「マーブル…ですか…」
たらりと流れそうな汗を誤魔化すように、雄大は見つかるはずのないマーブル柄のランチョンマットを探し出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 147