アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
はるの嵐の予感にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
はるの嵐の予感
-
(はっ!)
雄大は頭にシフトの”出”の羅列が浮かんだ。
(今日もラストだし……)
雄大はつい、ギュッと目をつぶってしまった。
「雄大くん?」
加藤の声にハッとして目を開けた。
「あっ…すみません。」
「いいんだよ。どうしたの?」
加藤が優しい顔のまま、首を傾けた。
「あの…その…」
(言いにくい!告白してくれてから4ヶ月も経つのに、僕のシフトのせいで1回もプライベートで会う事も出来てないのに!今度の休みは…)
雄大はしゅんと俯いた。
新生活を始める友人にどうしてもと言われて、引っ越しの手伝いをする羽目になっていた。
(折角、日曜日貰ったのにそんなことに使ったら、加藤さんどう思うだろう…)
それが加藤を避けようした理由だった。
(こんなんじゃあ、僕…加藤さんに…)
雄大は唇を噛んだ。
「これ、値引きしてもらおうかな?店員さん。」
ポンっと雄大の頭が温かさで包まれた。
顔を上げると加藤が、ニコニコ笑って雄大の頭を撫でた。
「一応、誘ってるんだよ、雄大君。」
「あっ…わかって…ます。すみ…」
謝ろうとした雄大の口に加藤は人差し指を当てた。
「ふふっ。いつだっていいから。俺はこうやって、雄大くんの顔を見れるだけで満足さ。そんでもって、こうやって雄大くんが選んでくれた商品を部屋に飾って眺めてるととても幸せな気持ちになれるんだ。」
そうやって幸せそうに笑われると嬉しいやら申し訳ないやらで、雄大は泣きそうなった。
「すみません…」
「4月は始まりの月だからね。忙しいに決まってるよ。新商品、新生活、新入社員。あっ、そう言えばうちにも新入社員が入ったんだ。10人くらい。」
加藤は思い出したように手を叩いた。
「へぇー!さすが大企業は規模が違いますね。」
「今度、歓迎会でビンゴ大会があるから、ここの商品、会社の人と見に来るね。」
「本当に!?ありがとうございます!」
雄大は深々と頭を下げた。
「加藤さんとこの新入社員さんなんて、みんなエリートなんだろうな。」
雄大は桜のアロマキャンドルを手にし、加藤と共にレジへ向かった。
「ん?どうかな?確か1人は…ミスなんたらで、みんな騒いでいたなぁ。」
「えっ!?ミス!?」
雄大は激しく振り返った。
「うん、うん。なんかのミスコンテストの優勝者って言ってたっけ?あっ、ちょっと待って。あのプラスチックのコップ買おうと思ってたんだ。雄大くん、どの色が好き?」
「あっ…緑。。」
「緑ね!そう言うと思った。」
楽しそうに笑い背を向けた加藤に雄大は笑顔を返せなかった。
(ミス…!?なんのミスコンテスト?てかヤバイじゃん!ただでさえヤバイのに更にヤバイじゃん!!そうだよ!女の新入社員が加藤さんなんて見たら…)
コップを手にする加藤の端整な横顔を見て、雄大はアロマキャンドルを持ったまま頭を抱えた。
(絶対、カッコいいって思うじゃん!絶対、惚れるじゃん!!狙ってる人いっぱいるだろうけど、更に増えるじゃん!てか一緒の職場とか羨ましい!)
それでもどうする事のできない雄大は、わしわしわしっと頭をかいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 147