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2人の気持ちにしおりをはさみました!
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2人の気持ち
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「待って!!!」
雄大はなりふり構わず、走り込んで、その後ろ姿に抱きついた。
「わっ!!!」
勢いつけ過ぎたせいか、その背中はバランスを崩して、近くにあった休憩用のベンチに突っ込んだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
周りがザワザワし出しだした。
「あっ….いてっ…雄大…君?」
加藤が顔を向けたので、雄大は急いで加藤の背中から離れた。
「ご、ごめ…すんません!」
もう何を言ってよいのやら、雄大は青くなった。
加藤はベンチの背もたれに手を置いて、ゆっくり雄大に体を向けた。
「びっくりしたぁー。」
「あの……すみません。」
「んっ、大丈夫だよ。どうしたの?」
頭がグルグル回る雄大に対し、加藤はさっきと同じ様に距離を置いたように話しかけてきた。
「あの…その…」
どう言ったらいいのかわららない雄大に加藤は首を傾げた。
「?あっ、こっちに来ようか。」
横を通る人の迷惑にならないようにか、加藤は雄大の手を引いた。
手が熱くなり、走ったせいか、心臓がバクバクバクし出した。
「で、どうしたの?何か用事?」
人通りのほぼないフロアの奥に入った英会話教室の前の通路で手を離された。
英会話教室の前にはcloseの札が立っていた。
「あの……」
伝えたい言葉が心臓の音に邪魔されて、中々言い出せなかった。
加藤は壁に寄りかかり、腕を組んで、眉をひそめていた。
「その……」
「その?」
(言うんだ!ちゃんと言うんだ!!)
雄大は拳を握った。
「行かないで!!」
急にすっと息苦しさが抜けていった。
加藤は驚いた顔で、組んでいた腕を離した。
「……欲しいです。。温泉旅行……。」
息苦しさは無くなったが、今度は顔が熱くなってきて、うつむいた。
「行って…欲しくないです。旅行に。こんな事言う資格、僕にはないけど、行って欲しくないんです。。それだけ…伝えたくて…」
加藤の顔が見れず、雄大は俯いたまま、ギュッと目を閉じだ。
「ごめんなさい…こんな事いっ…」
ギュッと身体が抱き締められた。
「加藤さ…」
「行かないよ。」
加藤が更に力を込めた。
「雄大君が行って欲しくないなら、旅行は断るよ。」
「ほ、本当に?」
安心のあまり、雄大の身体は力が抜けた。
「おっと。」
その身体を加藤がギュッと支えた。
「よ、よかった。。」
雄大は縋るように加藤の胸に顔を埋めた。
温かくて安心する胸の広さにようやく息がつけた。
「俺も良かった。」
「えっ?」
顔を上げると加藤は右腕を離し、そっとその手を雄大の顔に当てた。
「俺だけが雄大君の事好きなんだと思ってた。いつ振られるのかとヒヤヒヤしてたんだよ。本当言うと、今日は最後の賭けのつもりだったんだ。雄大君が追いかけて来てくれるまで、ドン底の気分だったよ。」
いつもの優しい笑顔が、顔中に広がった。
「ありがとう、追いかけて来てくれて。」
その優しさに雄大は泣きたくなって、首を振った。
「僕がいけないんです。休みも合わせられなくて、いつもいつも…」
「それは仕方ないよ。仕事なんだから。」
「でも…僕、もっと加藤さんのこと、知りたいです。誰よりも、たくさん知りたいです!だから、加藤さんも何でも言ってください!僕じゃあ…役不足かもしれないけど…頑張ります!!」
気合を入れた言葉に、びっくりた目をした加藤だったが、すぐににこりと笑った。
「じゃあ、ここで一つ、ワガママ言っていい?」
加藤の艶々した目が近づいて来た。
「…何でしょう?」
雄大が首を左にかしげると、加藤は右の耳に口元を寄せた。
「ここでキスさせて。」
「!!?」
「ねっ?」
加藤は雄大に巻きつけていた左腕を離し、雄大の髪を撫でた。
雄大はパニックの余り目をキョロキョロさせた。
「お願い。」
加藤の甘い声に身体が熱くなる。
(えぇい!僕も男だ!!)
「はっ、はい。。」
真面に見るのが恥ずかしくて、雄大は顔を背けまま、答えた。
「……」
さらりと加藤の手が雄大の顔を撫でる。
顔を両手で持ち上げられ、雄大はギュッと目を瞑った。
加藤の息がかかり、唇に柔らかくて、熱い感触が強く押し付けられた。
熱い加藤の唇が吸い付き、心が満たされているのがわかる。
「んっ…」
長い口付けに雄大がシャツを握りしめると加藤はゆっくりと唇を離した。
「これ以上すると、止まらなくなりそうだから。今日はここまで我慢するよ。」
「これ以上…?」
ほっーとする雄大に加藤は、悩むように笑った。
「可愛い顔は俺のものだけにして。その顔のまま、お店にに戻らないでよ。」
「あっ…」
時計を見るともう30分以上過ぎていた。
「雄大君。」
チュッ
加藤は音を立てて、雄大の頬にキスをした。
「あと今度、連絡先教えてよ。俺は、加藤成康。名刺渡してるよね?」
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