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席替えタイムにしおりをはさみました!
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席替えタイム
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「上村くーん!こっち、こっち!」
トイレから戻ってきた上村を野上が呼び寄せ、席替えの着席は済んだ。
「じゃあ、改めて、乾杯!」
雄大の目の前の男性がグラスを上げた。
「か、乾杯。。」
雄大は右隣のにっこり顔の成康と目が合った。
席順
テレビからコの字のソファーに時計回りに浅木、西川の友達が2人並び、成康の会社の後輩。真ん中に西川。その横に成康、雄大、上村、野上が並んだ。
(何で…この位置…?)
成康にちょっかい出されるのは見ていてムムム…とは思っていたが、今の状況はとても窮屈だった。
「雄大君、何か取ろうか?」
「……」
首をかしげて聞いてくる成康に答えようとするが、左側から強い視線を感じて、雄大はどこに目を向ければいいのかわからなくなった。
「あっ…えっと…」
「フライドポテト?何か他のも頼もうか?お腹すいたでしょう?」
「あっ…と…」
雄大は顔を隠すようにメニューを開いた。
「おっ、加藤ちゃん、優しいねー。俺にもビール。」
「自分で頼めよ。」
「あっ、私、注文しますよー。」
「西川ちゃん、優しいー。じゃあ、ジョッキで。」
「先輩、飲み過ぎですよー。」
「私、オレンジー」
雄大は薄暗い中、カラフルなメニューを上下左右に目を動かした。
(どーしよー。。みんなが食べれて…)
「ゆーちゃん、頼むよー」
「えっ…と…じゃあ…」
雄大はぐるぐると目を回したが、全くメニューが頭に入ってこなかった。
「椿さんはゆっくり見て決める派だから、先に頼んじゃって下さい。」
ハッとメニューから顔を上げると上村が西川の方を向いてそう言っていた。
「あっ、そうなんだ。」
その上村の言葉に西川ではなく、成康が応えた。
「えぇ。発注の時、ずっとカタログ見たり、店長に相談したり、売り場見たりして、発注してますから。」
「ふーん。」
雄大の頭を飛び越して、2人は目を合わせていた。
(何だろう…この空気。。)
「じゃあ、仕事の事は相談には乗れないけど、今度からプライベートの事は俺と一緒に決めようね。」
成康がにっこり笑って、メニューの端を持った。
「あっ…はい。。」
その柔らかな顔に流されるように返事をした。
「じゃあ、仕事の相談は俺にして下さい。まっ、仕事の時間の方が長いですし。」
シラッとした顔をした上村に雄大はあんぐりと口を開けるしかなかった。
「あ…う…」
ビリビリとした空気が雄大に刺さった。
「じゃあ、私の相談にも乗ってー!」
空気を読んだのか読んでないのか、野上が上村の首に飛びついた。
「…すみませんが、席替えして下さい。」
「そうだね!席替えしよう!席替え!そっちの席、知ってる奴でかたまっちゃったし。」
浅木が手を叩いて、微妙な空気を打ち消した。
「雄大君、決まったら教えて。注文してあげるから。」
「あ、ありがとうございます。」
成康はにこりと笑ってはいるが、口元と目尻がヒクヒクと動いているように見えた。
(上村め!)
雄大はメニュー越しに上村を横目で睨んだが、無表情のままくじを引いていた。
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