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悩む悩む悩むにしおりをはさみました!
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悩む悩む悩む
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中学の修学旅行での擦り合いは、ただただ好奇心だけで、モノも成長もしてない奴らばかりだった。
しかし、高校生になると違った。
高校の修学旅行で、夜、布団をかぶって班の数人で、有料チャンネルを観た事がある。
高校生にもなると、周りは自分よりかなり成長も著しく、雄大はキョロキョロしながら、ズボンで隠したままだった。
喘ぎ声が始まり、胸の大きな女性とちょっとぽっちゃりしたおじさんが絡み合う姿に周りの奴らは鼻息を荒くして、手を動かしてたが、雄大はイケなかった。
おっさんのたるんだ腹に萎えたのか、それとも隣にいた奴が、イッた時に雄大を見ていたのが怖かったのか、とにかくそれはすぐに先生にバレて、雄大以外は局部を少々立てたまま、廊下に正座させられた。
それ以来、自分以外のは見た事がなかった。
(…僕のより…)
パンツのゴムを引っ張って、自分のをジッとを見た。
ハッとして雄大は頭を振った。
(違う違う!!今の問題は上村君とどういい顔をすればいいか…)
ガシガシと頭をタオルで拭いた。
上村の余裕のない息遣い、潤んだ瞳を思い出す。
(なんで…上村君は僕が嫌い…好きではないって言ってた。。)
ガチャ!
「わぁお!!」
突然扉が開き、雄大は驚いて洗面台に腰をぶつけた。
「あっ、ごめん。」
ひょっこりと、赤ら顔の詩央里が顔を出した。
「いってぇ…」
「ちょっとコンタクト落とさせてよ。」
パンツ一丁の弟を無視して、詩緒里は洗面台を占拠した。
「…締めてるんだから、風呂入ってるってわかるだろう?普通、弟が裸だったら遠慮しろよ。」
雄大はちょっと凄んでみたが…
「はぁん!そんなガリガリの身体、子供の頃と変わんないわよ。」
目の下を真っ黒にした詩央里にジロリと睨まれ、雄大は肩をすくめて、退散した。
「ふん!私より腕細いんじゃない?あんた本当に男?ちゃんと付いてんの?」
「ちゃ、ちゃんと付いてるよ!」
雄大は真っ赤になりながら、Tシャツを急いで着た。
「彼女とかいるの?そんなヤワな身体して。」
詩央里は鏡を見ながら、コンタクトを外していた。
「……いない…けど…」
「でしょうね!自分より細い男なんて連れて歩きたくないわ。」
「な、なんだよ!姉ちゃんなんて、彼氏出来たかと思ったら、すぐ振られるじゃないか!明らかに姉ちゃんに原因があるんじゃないか!?」
「はぁっ!?怒」
よく見えないせいか、詩央里は眉をひそめて、雄大に顔を近づけた。
「うわっ!酒くさっ!」
雄大はアルコールの息に顔をしかめた。
「うっさいわ、童貞!」
「ど…!?」
「あんた、なんで抜いてんの?雑誌、DVD?グラビアアイドル?」
「抜くっ…」
動揺する雄大に詩央里さらに近づいた。
「私はね、特定の彼氏なんていなくても、いつだってラブホに行ける人くらいいるのよ。私くらいになるとなかなか釣り合う奴いないから、見つけている間、まぁ、遊び感覚?みたいな。」
「そんなの…無理だよ…」
雄大はプイッと顔を背け、小さく呟いた。
「なんていった?」
「いや…なんでも…あっ!姉ちゃんはさ、向こうも自分を好きでもない奴とそういう関係できるの?」
「はぁ?」
狭い洗面所で詩央里は一歩退いた。
「あっ、そのさ、たとえばさ、その向こうは僕のこと嫌いって言ってんだけど、キ、、キ、、、」
「何?職場の人からキスでもされたの?」
雄大は頭がドカーーーンとなりそうだった。
「えっ?えっ?えっ?イヤ…アノ…」
「あんた、職場と家の往復しかしてないし。女と接触するのは職場しかないでしょう?」
雄大は顔がははっ…と笑いながら、引きつりそうになった。
(男だけど!)
詩央里は大袈裟にため息をついた。
「それってその人、あんたの事、好きなんでしょう?」
「えっ?」
詩央里は再び鏡に向かい、ヘアーバンドを付けた。
「好意がなけりゃ、キスなんかしないわよ。嫌いだったら、オエッ!絶対、無理よ。身体が拒絶反応起こすもん。」
鏡の向こうの詩央里は、吐き出す真似をした。
「あんたは嫌だったの?」
「僕は…」
(嫌…吐くほど嫌では…)
雄大は頭を頭に被ったタオルで口元を拭った。
(でも…なんか違うような…)
「でも好きでもない?」
雄大はハッとして顔を上げた。すると詩央里が鏡から目を離し、雄大を見ていた。
「あと、自暴自棄になると好きでもない相手と寝たりするわ。まるで好きだった人に復讐するかのようにね。」
すぐに成康の顔が浮かんだ。
(復讐…なんて…)
昼ドラのような言葉に雄大は怖気づいた。
「で、キスされた人に付け込まれてズルズルと関係に落ちる事もあるけど、大抵は本当に好きな人の事を忘れられずに、悩んで、苦しむ事が多いかなー。心の奥底から好きな人がいるなら。」
「奥底…?」
詩央里はうんと首を動かした。
「どうしても、何をされても最終的には想う人。」
雄大はふらっとした。足下がおぼつかない。
(僕は…)
「そういう人に会えたらいいわね。雄大、いる?」
詩央里は大人っぽく、雄大に笑いかけた。
「僕は…」
雄大は赤くなりながら、首を捻り、うなずいた。
(加藤さん…)
初めて会った時のすらりとした黒コートの姿を思い出す。
「私はないわ。」
詩央里の太い声に雄大は目をパチクリさせた。
「…えっ??」
急に詩央里はブスッとして顔にクリームを塗り出した。
「大体、そんな学生みたいな”運命の人”なんて思ってる暇ないわよ。まず出会う人がいないから。どうにか出会った人が自分の年齢、年収、家族構成に合えばそれだけで運命の人だと思わなきゃ。」
「えっ?でもさっき、ラブホ行くって…」
「はぁん?そんなの嘘に決まってんでしょ!」
「いっ…?」
「あんたが女子学生みたいな顔で、悩んでてムカついたのよ!大体、あんたその女みたいな顔!きぃー!飲み会で写真見せたら、全部の男があんたの方が可愛いって言ってんのよ!」
深夜の洗面所で雄大は小さくなった。
「す、すみません。。」
雄大は息巻く詩央里を残して、ドアノブに手をかけた。
「あっ、あと。」
「はっ、はい。」
恐る恐る振り返ると顔中白クリームの詩央里の目がギラッと輝いた。
「キスしてきた女、キープしときなさいよ。」
「えっ…?」
「童貞捨てるチャンスでしょう。そういう奴の方がヤレる確率高いし。ほら、早く出て行って。」
バタン
真っ暗な廊下にぼんやりと立ち尽くした。
(えっ?いや…童貞捨てたいけど、捨てる為の話してたわけじゃないんだけど…)
詩央里に翻弄され、雄大は少し力が抜けれたように思えた。
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