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ノンストップノンストップにしおりをはさみました!
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ノンストップノンストップ
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冷や汗が出てきた……
「ありがとうござぃましたぁ。」
胃がキリキリし出した。
誤魔化し誤魔化し、震えそうになる声を押し殺し、なんとか乗り切った。
(長い客だった…)
ご機嫌に帰る紫のスカーフを巻いたご婦人を見ながら、
(もう来なければいいのに…)
と思ってしまい、慌てて、頭を振って、自分をたしなめた。
(いかん、いかん!!そんな事思っちゃぁ!)
ふと店内を見渡すとすっかりタイムセールも終わり、人の波も途切ていた。
(疲れた…)
雄大は何度もベビーカーにぶつけられた左足を気にしながら、ズルズルっとタスキを脱いだ。
「椿さん、長かったですねー。2時間くらい、あのお客さんに捕まってましたよ。最終的にはタイムセールの値段にしろって、凄いお客さんに捕まりましたね!」
雄大は身体と同じ大きな声で話す牟田に人差し指を立てて、自分の唇に当てた。
「しっーー!だよ。しぃーー!」
「あっ、すみません。」
牟田はフーフー言って、額の汗を拭った。
(僕の汗とは違うよな。。)
ダラダラと汗を流す牟田に対し、雄大のはひやひやとするように湧いてくる汗。
(お腹空きすぎて、胃が痛いばっかりだ…)
雄大は手の甲で額の汗を拭った。
(キッツ…)
雄大はお腹を押さえながら、カウンターに手をついた。
「大丈夫ですか?椿さん、休憩行ってないでしょう?」
「あっ…えっ…うん、大丈夫。」
雄大は冷や汗の顔のまま笑みを作って、姿勢を正した。
(今は確か上村君の休憩時間だし、そろそろもう一波来そうだし…)
「すみませんー。」
遠くで雄大に向かって、手を振る女の人がいた。
「今、行きます!」
雄大が女性に近づいて行くと、女性は難しい顔をして、ティーポットの側面や裏を見たりしていた。
(わぁ…時間かかりそうだな…)
雄大はキリキリ痛む胃を抱えて、強張りそうになる顔を必死で堪えた。
「お待た…」
「お待たせしました。私の方がお伺いします。」
急に雄大を押しのけて、上村が女性との間に入って来た。
上村の背中しか見えなくなった雄大は背中にぶつかりそうになった。
「おい、上村君!!」
雄大は背中に小さく抗議した。
上村はくるりと雄大に身体を向け、雄大の耳元に顔を近付けた。
「そんなフラフラした足取りで歩かれたら、飴をあげたら誰にでもついて行ってしまいそうです。俺の休憩、使ってください。」
上村は目が回りそうな雄大を強いで睨んで、身体を起こした。
「あの…」
女性が今日な出来事に不信げに声を上げると上村はパッと雄大に背を向けた。
「すみません。私がこちらの売り場担当でして。」
「あぁ、そうなの!?」
女性は上村の精悍な顔立ちに魅入られたのか、すぐに不信感を取り払った。
「このティーポットなんだかけどね…」
後手で上村が雄大を手で追いやった。
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