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レースはインスピレーションにしおりをはさみました!
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レースはインスピレーション
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「おい、加藤。」
午後の仕事を始めようとデスクに戻ると、3つ先のデスクに座る黒田がちょいちょいと手招きしてきた。
「はい?」
「ちょっと来い。」
黒田は携帯の画面を見たまま、成康を呼びつけた。
成康は眉をひそめてながら、黒田のデスクに近づいた。
「はい、何でしょう?」
成康が横に立っても黒田は携帯の画面を神妙な顔で見つめ、頷いた。
「黒田さん?」
成康は黒田のデスクに手をついて顔を近づけようとすると黒田は携帯を隠すかのように成康の顔を手をで制した。
「ちょ、ちょっと待って!今、ダービーの結果でたから!あぁ!畜生!!」
黒田はデスクに携帯を投げて、頭をかきむしった。
「今日は占いでは賭け事◎だったのに!」
「あの…黒田さん?」
成康はひきつるような笑いを口元に浮かべた。
「あっ….というわけで、、お前、今日昼から外出あり?」
「いえ…今日は1日内勤です。」
「あっ!よかった!!」
黒田はそう言うと勢いよく立ち上がって、スーツの上着を羽織った。
「俺、今からボートレースに行ってくるから、この住所に行ってきてくれ。」
黒田はデスクの上にあったメモ用紙を引きちぎって、成康に押し付けた。
「はぁ!?」
足早に退散しようとする黒田を成康は非難の声を上げ、後を追った。
「ちょっと….何で俺が?」
黒田はホワイトボードの前に立ち、”黒田”に早退、”加藤”に外出の札を貼った。
「早退って…黒田さんも行くんじゃないんですか?」
「いや、俺はボートレースに。」
「はぁ??」
黒田は口笛を吹きながら、成康の顔を見ずに歩き出した。
「ちょっ…」
「大丈夫だって!お前の方が適任だろうし。」
「いや….でも…何の会社なんですか?新規の営業ですか?」
「んーーまぁ、そんなとこ?なんか困ってるみたいでさ。でも俺じゃあ、役不足っぽいから。」
「どういう…」
黒田はくるりと振り向いて、成康ににこりと笑いかけた。
「お前、最近、上の空で仕事に身が入ってないだろう?」
「えっ?」
成康はドキリとして、一歩引いた。
「このまま新規も取ってこれないとボーナスが危ういかもよー。」
「…ボーナスなんて…それにおこぼれなんて…」
「来年から海外と本格的に業務提携に持ってくために、こっちの社員を縮小するつて噂だぜ。」
1年前からまことしやかに囁かれている単なる”噂”である。
成康はググッと胸を張った。
「それならレースのために早退する人が1番危ないですね。」
「あっ、じゃあ来月のR社の10周年パーティ、お前の名前書くぞ?あそこのハゲた社長、できたらイケメン寄越せってうるさくてさ。なんでも婿養子を探してるって。」
成康はその情報に背中を丸めた。
「……行かせていただきます。」
「頼んだよ。住宅街にあるトコだから迷うなよ。あとなんか持ってけよ。」
黒田は口笛を吹きながら、軽い足取りで成康の前をスキップした。
「えっ?てか会社名は?あと代表の方は年配ですか?人数は?黒田さん!!」
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