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別れてもにしおりをはさみました!
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別れても
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ドサリ
雄大は体力の限界だったのか、ボロボロの雑巾のようにベッドにうつ伏せになって、倒れ込んだ。
「はぁっ…」
身体の力が全部なくなったようにベッドに沈み込む。
ギシリッ
ベッドの端が揺れ、雄大はドキリと緊張する。
「雄大君。。」
甘いような低く濃い声。
雄大はぎゅっと布団を握りしめ、隠れるように小さくなった。
「…まだお腹痛い?」
胃がキリキリして、腸が締め付けるような痛みが残っていたが、雄大はベッドに顔をうつ伏せたまま首を振った。
「…….その手首…どうしたの?」
ドキリ
雄大は紫の痣がまだ消えていない手首が布団から出ているのに気がつき、すぐに布団に仕舞った。
ギシリ
「雄大君。」
顔を上げなくても成康が近いのがわかる。
柑橘系の甘酸っぱいような成康のコロンの香りが鼻をくすぐり、そして酔わせる。
(駄目だ!僕と成康さんはもう…甘えるわけにはいないんだ。)
「雄大君、顔を上げてくれないかな?」
優しい声が耳を撫でる。
心臓が早鐘を打ち、痛いくらいだった。
雄大は身体の痛みと胸の痛みに耐えるようにぎゅっと目を閉じた。
「雄大君、俺と君とは一応もう別れてる。」
急にそう言われ、雄大は閉じていた目を開いた。
心臓が更にバクバクしる。
「だからって、俺が君を心配する気持ちは…立場とか君がどんな気持ちなんて関係ない。俺はただ、雄大君が心配なんだ。ただ1人、君の身を案じてる者として…」
ミシッ
「ここにいるんだよ。」
ドドドドド…
何も答えられなかった。ただ心臓の音がうるさくて、頭が全然回らなかった。
(心臓の音、うるさい!)
音を隠すように身を小さくした。
「雄大君?何か悪いもので食べたの?」
成康の手が伸びて、雄大の髪に触れた。
「……」
「何かに困ってたんだろう?黒田さんにすがるような困り事って何?」
雄大は髪にかかる指の感覚に息を飲んだ。
「そ、それは…大丈夫です。」
「ふーん。。」
成康の手は髪を離れ、ガシッと雄大の手首を軽く掴んだ。
「っつぅ….」
紫の痣に触れられるとまだ鈍い痛みが走る。
「でも黒田さんにすがるって事は、家族にも言えないような困った事なんだろう?…そして今も困ってる。」
「……」
成康から逃げようと横を向いていた雄大。
「正直に話さないとずっと困ったままだよ。」
ドキン
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