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18歳以上ですか?
43にしおりをはさみました!
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43
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二人の間に流れる沈黙は、重く長いように感じられた。
僕は、αの先輩にこれ以上迷惑が掛からないように、ただただ膝を抱えて極力フェロモンを抑えることしか出来なかった。
先に動き出したのは一谷先輩の方で。
流しっぱなしだったシャワーを止めて、脱衣所に置いてあったバスタオルを僕に掛けてくれた。
そして、そのままリビングに戻ったようだ。
やってしまった。
先輩に見せたくない所を見せてしまった。こんなみっともない所を。
先輩が掛けてくれたタオルを、自分を包むようにかき集める。
目が霞んで、段々とフェロモンを抑えることが出来なくなってきて。
それすらも今の僕には、悲しくて悔しかった。
先輩が気づかない筈がない。
僕が男だってこと。Ωだってこと。
きゅっと唇を噛み締めて、風呂の扉を見つめる。
先輩……
「ごめ…なさ……」
熱に侵された頭の中で、絶え絶えに紡いだ言葉はふっと唇から溢れた。
その時、風呂の扉が開いて先輩が入ってきた。
「……!先輩…だ、め…っ」
近づく先輩に必死で訴えるが、聞いてもらえない。
先輩はそのまま近づいてきて、さっと僕の前にしゃがむと、ふわっと優しく僕の頭を撫でて……
僕を抱えあげた。
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