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何だか城が騒がしい
(楓!)
楓?
どうしたんだろう
凱の声が廊下から聞こえた
急いで部屋から出てみると血だらけの楓が運ばれて来た
「凱、楓はどうしたの?」
「心配ない、部屋に居ろ」
「でもっ!」
「隣国の帰りに楓の乗っていた飛行機ごと爆破されたんだよ」
「えっ?」
「こいつはそれを感じて飛び降りたんだ」
「死んでるの?」
「こいつが死ぬかよ・・・でも、こいつも人間だ」
「・・・・・・・・・・・」
すごい怪我だし顔色も悪い
「俺もついて行ってもいい?」
「ああ」
楓部屋に向かい、黙って椅子に座っていた
「どうなんだ?」
「今は何とも・・・後は精神力しか」
「は?こいつの精神力は普通じゃないんだぞ」
「体を強く打ち付けていますし、傷が深いので今夜が山かと」
「待てよ!」
「申し訳ございません・・・」
「・・・っ!」
楓・・・死んじゃうの?
そんなの嫌だ
「楓・・・・・」
悲しそうな凱の声
心が痛い
「・・・・・・・・・・・・」
黙って部屋を出て、真っ暗な庭に立ち、朝もやが出るのを待った
一人で出てはいけない事は知っているし魔法も使ってはいけない
ワンドを強く握りしめ、呪文を唱えた
いけない事はわかってる
でも俺は楓を助けたいんだ
七色の水に朝露を1滴、消えかけた星の雫とブルーの蝶の羽
最後に自分の血を数滴・・・そのグラスを持ち、月にかざした
「これを黄金のドラゴンに捧げん!最大回復魔法・・・っ」
グラスが光り、俺はそのまま気を失った
ドラゴンはいない世界でも回復魔法は使えたらしい
「空!」
「俺・・・・」
「庭で倒れてたんだ」
「ごめん・・・よく覚えてないんだ」
「心配したんだぞ」
本当に心配そうな顔だった
「楓は?」
「大丈夫だ、心配ない」
「そっか・・・よかった」
「・・・・・・・・お前、まさか」
「俺、お礼とか出来ないからさ・・・ごめんね」
「自分を傷付ける魔法はもう使うな・・・楓があのまま死んだ時、それは・・・運命だ」
「ごめん、俺余計な事をしてしまって」
「感謝している」
「えっ?」
「親友を亡くすのは辛いからな」
「奏」
「でも、これからはもう使うな・・・人が死ぬのは運命だから」
「奏の時も?」
「ああ」
「・・・・・・・・・・・俺死罪だね」
「えっ?」
「最大回復魔法は死罪なんだ・・・俺みたいな人間が使うとね」
「ここにはそんな法律は無い」
「・・・・・・・・・・・・」
「死ぬのを覚悟で助けてくれたんだな・・・ありがとう空」
そう言って抱きしめられた
すごくいい香りがして綺麗な髪が頬に触れた
でも、抱きしめ返す事は出来ない
悲しいけどしてはいけないんだ
「楓・・・・・楓っ!」
このまま死ぬのかよ
俺を置いて死ぬのかよ?
そんなの嫌だ
絶対嫌だ!
「眩しいっ・・・」
何だ?
今庭からすごい光が・・・・・
「・・・・・・・・・・・凱」
「楓!」
「俺、助かったの?」
「ああっ!お前が死ぬかよ」
「・・・・・・・・・不思議な夢を見た」
「夢?」
「ドラゴン」
「はい?」
「綺麗なドラゴンが近付いて来て、お前はまだ死ぬ時では無いと・・・七色の光に向かって真っ直ぐ歩いて行けと・・・そうしたら目が覚めた」
「そっか」
「もしかして空が?」
「・・・・・・・・・・・俺はさ、どんな手段を使ってでもお前を生かしたいと思ってる、魔法かどうかはわからないけどそう願ってる・・・だから・・・」
「そう・・・そうだね、俺も同じかも」
「確かにいけない事かも知れないけど、ドラゴンに言われたのなら仕方が無いな」
「だね」
「少し眠れ、俺が傍に居る」
「うん」
本当に空が?
でもあの光の後に楓は目を覚ました
だけど複雑だ
魔法はこの世界では使えない
もしかしたら楓は死んでいたかも知れない
「う~ん」
「神に背く行為ならたくさんしてるよ・・・凱」
「楓」
「俺は生きて働かなければいけないらしいね」
「そうだな」
「何か理由があるのかも」
「ああ」
もう考えるのはやめよう
もし何かの理由があって楓が生かされたのなら空のせいではない
ドラゴンか・・・
別の世界では本当にいるんだな
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