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笑顔にしおりをはさみました!
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笑顔
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空の話を聞いていてもよく理解出来ない部分もあった
俺達にしてみれば、魔法を使う事は当たり前だし使えない奴らがいるなんて驚きだ
一番ムカついたのは・・・・・空が奏の話をしている時の表情だった
俺には見せた事の無い優しい表情
全て俺と同じ顔の奏がそうさせているんだ
同じ顔の奏と何が違うんだ?
「悩み事?」
「楓・・・・・」
「難しい顔」
「・・・・・・・・・・・・」
「空は?」
「凱にシールドを教えてもらってるよ、ほらあそこ」
「・・・・・・・・・・・」
中庭に空と凱がいた
空はいつものように笑顔だった
「俺さ、感じたんだけどね」
「何をだ」
「凱って、昔はあんなに笑わない奴だったな~って」
「そうだな」
「別に無表情ってわけじゃないけど、笑うこともなかったかな」
「何が言いたい」
「何って、やっぱり笑顔が可愛いなって」
「・・・・・・・・・・」
「俺もね、そんな凱を見ているとつい笑顔になってしまうんだよ」
「そうか」
中庭で笑ってる二人を見つめ、溜息をついた
俺だって笑いたいさ
でも、昔からこの国を守るだけで笑顔なんて忘れてしまった
この世に生を受けた時から授かった特別な力は、俺にしてみれば煩わしいだけのものだった
でも、それが当たり前だと思っていたし俺の使命だと言われ続けて来た
「ほら、見て」
「?」
「今度は成功するかな」
「成功?」
「なかなか難しいみたいだね」
「シールド魔法か?」
「うん」
この世界の魔法使いなら子供でも出来る簡単な魔法なのに
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「出来て当たり前って思ってる?」
「・・・・・・・・・・・だな」
「まずはその考えを変えていかなければ無理かもね」
「無理?」
「それは自分で考えてね」
「楽しそうだな」
「そう?」
考えを変える・・・・か
ぼんやり空を見つめながら溜息をついた
「じゃ、行くぞ」
「来なさい!!」
「それ!」
「シールド!・・・・・・・・・・ひぃ!冷たい」
「おいおい、また濡れねずみか?」
「むぅ」
「もっと集中だ」
「酋長?」
「集中!酋長呼んでどうする・・・てかどんな耳なんだ」
「ですよね」
凱も楽しそうだ
確かに笑顔だな
「行くぞ」
「来なさい!!シールドーー!」
「それ!」
「みぎゃーーー!ちべたい」
「ぶはっ!またかよ」
「んもう!何で出来ないんだろう」
「少し休憩しよう」
「ん」
「服を乾かすぞ」
「あい」
凱の魔法はさすがだな
濡れた服も一瞬で乾いてしまった
「何で出来ないのかな~」
「ん~、タイミングかな」
「タイミングかぁ」
「そそ」
「難しいな」
「大丈夫!出来るさ」
「そかな・・・・」
空の表情が曇った
あれ・・・・何で俺まで暗くなるんだ?
「クスッ」
「笑うな」
「はいはい」
楓には見透かされているらしい
だからこいつは苦手なんだ
そのまま二人に近付き、空の手を握った
「へっ?奏・・・どうしたの?」
「凱、やれ」
「ん?・・・・・・オッケー、空行くぞ」
「えっ、いきなり?」
「大丈夫だ、俺を信じろ」
「奏」
「それ!」
「ひっ!」
「今だ、空」
「えっ、シールドーー!」
「おっ?」
「おおぉ??」
「出来たな」
「やったな、空」
「うんっ!ありがとう奏」
「このタイミングを忘れるな」
「わかった」
・・・・何やってるんだ俺は
でも、空が笑顔になって俺も嬉しいと感じたような気がした
「へぇ・・・何だか変わったかも」
少しだけ笑顔の奏を見つめ、微笑んだ
「あっ、楓ーー!みてみて、出来たよ」
「うん、上手」
「ほんと?」
「ホント」
「むふっ」
「シールドは役に立つから強化した方がいいね」
「うんっ!頑張る」
空の笑顔につられて俺まで笑ってしまったみたい
「お?楓が珍しく笑ってるな」
「惚れ直した?」
「う、うるさいっ!」
「照れ屋さん」
「お前なぁ」
「俺は凱の笑顔を見て惚れ直したというかもっと好きになったのにな」
「うっ・・・」
「凱は違うんだ」
「そ、そうじゃなくて・・・・あ~もう!お茶でも飲もう」
「はぐらかした」
「いいからっ!」
空が来てから少しずつ何かが変わって行くような気がした
何だろう
心にゆとりが出来たみたいで、体も癒されるような気がしたんだ
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