アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
-
いつものように服を着替え、地下道を通ってあの場所にやって来た
ポケットには使いかけの蝋燭
新しい蝋燭を持って行ったら怪しまれてしまう
だからいつも使いかけの蝋燭を持って行く
「元気?」
「楓、聞いたか?」
「何を?」
「議会の話だよ!しかし驚いたよな」
「意外と国王も話が分かる奴なのかもね」
「でもなぁ~」
「他には何か変化があった?」
「そうそう!税金だよ税金」
「税金?」
「ああ、突然額が減らされたんだ、しかも仕事を持たない奴は税金免除だってさ」
「へぇ」
「でも仕事が無きゃな、生きて行けない」
「そうだね」
「楓、仕事は見つかったか?」
「なかなかね」
「だよな」
「それで、議会に誰を?」
「それを話し合っていたんだ、なぁ楓」
「何?」
「お前行ってくれないか?」
「えっ・・・」
それは困ると言うか無理かも
笑いながら断る理由を考えていた
「どうかな?俺達楓になら任せられると思うんだ」
「でも、どうせならこの過酷な状態をずっと見て来た人がいいと思うんだ」
「そうかな」
「俺は偶然この国にたどり着いたよそ者だし、国の事は余り詳しくないしね」
「じゃ、アレンが適任かな」
「そうだね、彼ならリーダーに向いてるし」
「そうだよな、アレン頼めるか?」
「わかった、みんなの分も不満をぶつけて来るよ」
「頼んだぞ」
アレンと言うのは30代の男だった
妻と子供を飢えで亡くし必死に生き抜いて来た男だった
みんなから信頼されているし彼なら任せても大丈夫だろう
「議会でこの国がよくなればいいね」
「そうだな、まだまだ先の事かもな」
「まずはこの闇に太陽が必要だね」
「暗いと心まですさむしな」
「うん」
太陽が届かない暗い世界を作ったのは貴族に雇われている魔法使いだった
かなり強い魔法で封印されてるらしい
そのせいで花も木も無い世界になった
でも奏は何も知らない
外の世界の事は何も知らないまま生きて来た
「貴族達は俺達を奴隷扱いだ」
「そうだ!この闇に閉じ込めて死ぬまで働かせるつもりなんだ」
「そうだね」
安い賃金できつい仕事をやらされている人達もいた
でも、せいぜい自分が食べて行くのがやっとの安い賃金
この世界の人間達は、貴族が捨てた食べ物を拾って何とか生きていた
「じゃ、そろそろ行くよ」
「ああ、いい結果を待っていてくれ」
「うん、楽しみにしてる・・・これを」
「いつもすまないな」
「ううん、そんな物しか見つからなくてごめんね」
「助かるよ、明かりは必要だからな」
「じゃ、またね」
「ああ」
そのままあの店に向かい、売られた人間を解放した
「あの・・・困ります」
「死ぬよりはいいでしょ?それとも死にたいの?」
「それは・・・」
「もうすぐこの国は変わるはず・・・だから生き延びるんだよ」
そう言って金貨を渡した
「こんなにいただけません」
「いいから」
他の奴らにも金貨を渡し、家に帰らせた
「さて・・・」
店の中に入り、酔っぱらっている奴に近付いた
「おい!今夜の獲物はどうした?早く出せ」
「そ、それが・・・」
「どうした?」
「消えたんです」
「消えた?ちゃんと繋いでおかなかったのか?」
「繋いでいました、でも消えたんです」
「ふざけるな!こっちは今度の議会の話でイラついているのに・・・ったく何であいつらまで」
「申し訳ありません」
「誰でもいいから集めて来い!どうせ死んでもいい奴らばかりだ」
テーブルの上に置かれた酒を掴み、頭にぶちまけた
「なっ!誰だ貴様!」
「税金を絞り取ってその金で同じ人間をいたぶるなんてね」
「黙れ!汚い奴だな、でも顔はいい・・・いくら欲しい?」
そう言って小銭を投げつけた
「笑わせる」
「お前にしてみたら大金だろ?」
「俺が欲しいのは」
「何だ、パンか?酒か?」
「お前の命かな」
「なっ!」
剣を取り出し顔に近付けた
「明るくした方がよさそうだね」
剣をかざし蝋燭に火を灯した
「これでよく見えるでしょ?」
「どうして魔法を・・・禁止されているだろ!死罪だぞ」
「そうだね、でも俺には許されている魔法だから」
「許されているだと?炎魔法を使えるのは側近の・・・」
「そうだね、この俺しか使えない」
汚れた顔を拭い、炎に顔を近付けた
「なっ!貴方がどうしてこのような場所に?」
「どうして・・・そうだな、この国に闇は必要ないと思ったから」
「何を言っているのですか?私達には関係無い事では?」
「関係ないのはお前を無意味に輝かせる宝飾品じゃない?」
「どうやら話し合いには応じないようですね」
「そうだね」
「おい、魔法使いを」
「お前が雇った魔法使いが俺の相手になると思う?」
頭数を揃えただけの魔法使い達
邪悪な闇しか見えない
「殺してしまえ!側近だろうと関係ない、こいつはお前達の敵だ」
「残念だけど、呪文を唱える時間がかかりすぎだね」
そう言って魔法使い達を焼き払った
「ひっ!」
「どうしたの?正当な魔法使いを用意すればよかったね」
「クソッ!死ね!!」
剣も使った事が無いくせに持っている剣は高価な剣
その剣より強い剣を思っているのが俺
「無駄だよ、この剣に傷を付けることは出来ない」
剣を弾き飛ばし、空を舞う剣を左手で握りしめた
「この宝石は何人の血で出来ているんだろうね」
「助けてくれ!金なら・・・お願いだ」
「俺が金を欲しがってると思うの?」
「宝石でも何でも」
「無駄だね、雑草は根こそぎ絶たないとまた生える」
「やめてくれ・・・頼むっ!」
「同じような言葉を何度聞いて来た?でもお前は笑いながら殺して来たんだろ?」
「クソッ!焼け死ね」
燭台を投げつけられ、服に火が燃え移った
「あははっ!ざまぁみろ」
「言ったでしょ?炎魔法は俺しか使えない、その意味もわからないなんてね」
「どうして死なないんだ?お前何なんだ!」
「ドラゴンの家系の人間は炎では死なないんだよ、死ぬ前に賢くなってよかったね」
そのまま体の炎をぶつけ、転げまわりながら叫ぶ声を聞いていた
「汚い声だね」
黒焦げになった死体を見つめ、更に強い炎で灰にした
「魔法使いが消えても空は暗いままか・・・」
俺ではこの世界に明かりを届ける事は出来ない
出来るとするなら・・・空しかいないんだね
宝石だらけの剣を地面に突き刺し苦笑した
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 55