アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
-
部屋までやって来たのはいいが・・・
何から話をすればいいのか悩む
殺されかけた奴らの為に空は動いてくれるだろうか?
「まだ起きていたのか?」
「お疲れ様」
笑顔で俺を迎えてくれた空
その笑顔が俺だけのものになればいいのに
「どうだった?」
「空はあの世界の奴らをどう思う?」
「あの世界って・・・まさか」
「ああ」
「恐怖しか無いかも」
「だろうな、殺されかけたんだし」
「でも、そこまで追い詰めたのは誰なんだろうね」
「耳が痛いな」
「話があるんでしょ?話して」
「勘がいい」
「まぁね」
お茶を飲みながら今日の話を空にも話した
空は黙って聞いていた
「無理にとは言わない」
「俺にそんな力があると思う?」
「わからない、でもドラゴンの力が備わっているのなら」
「失敗したら今度こそ死ぬかもね」
「そんな事はさせない、俺達も傍に居る」
「・・・・・・・・・・」
空は黙って考えていた
すぐに返事を聞くのは無理か
「わかった」
「えっ?」
「やってみる」
「いいのか?」
「護ってくれるんでしょ?」
「勿論」
「色々と考えてしまったんだ、もし死んだら俺の世界の奏とはもう会えないんだなって」
「空」
「でも、この国も変わらなければいけないと思う」
「ああ」
「俺、みんなを信じるよ」
「任せろ」
「うん」
空の世界の奏か
あんな顔をさせるもう一人の俺に嫉妬してしまった
「じゃ、先に寝るね」
「ああ」
「おやすみ」
「おやすみ」
一人になった部屋の中でつぶやいた
「死んだら俺にも会えないだろ・・・」
ここにいても空はずっともう一人の奏を想っているのか
会えないかも知れないのに
そんな空を見ながら生きて行くのは辛いな
でも消えてしまうのはもっと辛い
国が変わっても空がいなかったら意味が無いだろ
こんな思いをするのなら無理やりにでも・・・出来るわけない
裏切りたくはない
でも俺の気持ちはどこへ持って行けばいいのだろう
「ドラゴンの力か」
話を聞いた時は驚いた
でも何もしないより可能性があるのなら少しでも力になりたい
話を聞きながら昔の俺を思い出していた
奏の国に行った時、国は死んでいた
そりゃそうだよね、奏のやる気はゼロだったし
でも、俺と凱は頑張って国の人間になろうとした
言葉もわからない世界、見知らぬ顔ばかりで不安になった
だけど、時間をかけて理解してもらった
教会も作ってもらって毎日楽しかった
勿論公務も頑張った
そして国が生き返ったんだ
やっぱりみんな笑顔がいい
だからこの国もきっとみんなが笑顔になれるはず
でも逆に違う事も考えていた
もしこのまま元の世界に戻れなかったらどうすればいいかを
「無理だよ・・・愛せない」
同じ顔でもやはり違う
ずっとこのままここにいたとしても奏は愛せない
それとも自分を誤魔化して愛するふりをするべき?
「奏・・・会いたいよ」
堪らなく会いたい
でも俺が消えたらこの世界の奏は一人になってしまうんだ
「寝よう」
考えても仕方が無い
自分ではどうする事も出来ないしね
そして不思議な夢を見た
「俺がいる・・・隣に奏もいる」
あの奏は俺の世界の奏だ
でもどうして俺がいるの?
もしかして俺が二人になったの?
じゃ、俺の戻る場所はもうどこにもないの?
そっと近付きもう一人の自分を見つめた
もう一人の俺も同じように見つめていた
「君は誰?」
「俺は空、君は?」
「俺も空」
そんな・・・・・
「今幸せ?」
「幸せじゃないかな、君は?」
「俺も同じ」
「どうして?」
「ここは俺の居場所じゃないから」
「俺も同じ」
どう言う事だろう
もう一人の俺も幸せじゃないなんておかしいよ
「その世界は魔法が使えるの?」
「使えない、俺は使えるけどね」
「えっ?」
「君は?」
「俺は・・・君の世界の空なんだ」
「えっ?」
「不思議だね、俺達入れ替わったのかも」
「入れ替わった?」
「うん、君のいるべき場所はこの世界だと思う」
「でも、戻り方がわからない」
「うん、わからない」
「また会えるかな」
「会えるといいね」
そこで夢が終わった
不思議な夢だった
でも、この世界にも俺がいたとするならそのまま入れ替わればいいのでは?
でも方法がわからないし夢の話だからどうしようもなかった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 55