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空の元気が無い
あんな事があれば当たり前か
「空」
「俺、何も出来なかった」
「仕方ないさ」
「でも、そのせいで凱が」
「子供達の前で魔法は使えないだろ」
「うん」
「よく我慢したな」
「魔法は使うなって言われたし・・・でも俺」
「それは感謝してるよ」
「・・・・・・・」
「楓が心配なんだ」
「あいつは強いから大丈夫だ」
「うん」
「少し休め、疲れただろ」
ふと疑問がわいてしまった
でも聞いても仕方が無い事
「あのさ」
「何だ」
「・・・・・何でも無い」
「そうか」
もし、凱じゃなくて俺だったら同じように助けてくれたのだろうか
本物の空なら助けるに違いないけど、俺は本物ではない
「もしお前だとしても俺は楓と同じ事をしていたかもな」
「えっ?」
「空は空だから」
「うん」
俺は俺
うん、そうだよね
奏は一番知りたい言葉を言ってくれた
それが嬉しかった
「教会には当分行くなよ」
「わかった」
「まだ他にも流れ着いた奴らもいるかも知れないし早急に調べさせているからそれまで待っていろ」
「そうする、でも普通の人がこの国にやって来たらどうするの?」
「よそ者は入れない」
「そうなんだ、でも逃げて来た人だったら?」
「理由にもよるが、他の国に受け入れを要請する」
「そっか」
「全てを受け入れてしまったら今まで築き上げたものが台無しになるかも知れないし、国の人間も不安がるだろう」
「うん、でもさ・・・空と凱は?」
「それを言われると困るな・・・あいつらはある意味恩人だし」
「恩人?」
「日本に居た時のね、あいつらは俺と楓に人間らしい心をくれた」
「そうなんだ」
「それにこの国の人間に唯一受け入れられた人間だから」
「うん」
「俺達にとって必要不可欠な人間なんだ」
「愛してるから?」
「そうだな」
「うん」
どうしてそんなに遠い目で話をしているんだろう
同じ顔なのに俺を通して本物の空を見ているみたい
「あのね、奏」
「何だ?」
「不思議な夢を見たんだ」
「夢?」
「うん、俺と同じ顔の人・・・つまり空がいた」
「えっ?」
「俺達は夢の中で会話をしたんだ」
「どんな?」
「お互いが入れ替わってしまったんじゃないかって」
「入れ替わった?」
「その空のいる世界は魔法世界で、俺はそこから来た」
「それで?」
「そこからは覚えていない」
「そうか」
「でもすごくリアルな夢だった・・・だとしたら空は生きてると思うんだ」
「そう願いたい」
「夢に出て来た空は王族のような服を着ていた」
「王族?」
「うん」
「もしその夢が何かを知らせたいのなら空は今城の中にいると言う事か」
「だと思う」
「どんな国王だ?」
「わからない」
「そうか」
「俺の居た場所からは城は見えないし、近付く事も出来ないから」
「成程な」
「きっと空は元気だよ、そう思う」
「ああ」
「うん」
でも、お互い元の世界に戻っても俺は幸せにはなれない
これだけはどうしようも無い事なんだ
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