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小学6年生。4にしおりをはさみました!
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小学6年生。4
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なんだか口にしてみると、余計に自分の気持ちが暗くなっていく気がした。
敦史くんは、どう思ったのかな……
やっぱり女の子の方がいいって、当然だって思うのかな……
僕の話を最後まで聞いてくれたけど、今もまだ何も言ってくれないことが少し不安になる。
「すげぇじゃん、世那」
「…へ?」
けれど、敦史くんの第一声はそれだった。
思っていたものとは全然違った言葉に、僕からは間抜けな声しか出なかった。
「熱烈な告白だった。樹はこんな想われてんだな~羨ましいぜ」
「えっ、ちょっと……」
熱烈な告白って……
そんなつもりで話したわけではないのに、そう言われるとなんだか恥ずかしくなった。
赤くなる僕に、敦史くんは真面目な顔をして口を開いた。
「で…もし、お前が女だったとして、そしたら樹に告ってたか?」
「…えっ?」
「結婚もできるし、お似合いだって言われるかもしれない。どうするんだ?」
「ぼく、は……」
僕は告白してた。
そう言える。……だって羨ましかったんだ。
僕も女の子みたいに可愛くなったら、もしかしたら樹くんは……樹くんは……?
「…言えない?」
「……っ」
……その問いに答えることができなかった。
だって……
「そうだとしたら男だとか女だとか、結局言い訳にしかなってない。可愛いとかおしゃれだとか、そんなものもただの外面の問題でしかない。世那はあいつの外見だけが好きなのか?」
「…っ、ちがう、よ!」
「だろ?お前が樹のことを、ちゃんと中身を知った上で好きになったように、あいつもそんな上辺だけ見て、誰かを好きになるような奴じゃねぇと思うけど」
「……」
「俺はそんな特別仲良くねぇし、むしろ敵視されてるけど……あいつはそういう奴じゃないってことくらい分かる。それはあいつを好きなお前が一番分かってるだろ?……結局、気持ちなんだよ。世那の気持ちの問題」
「……ん」
全部...全部、敦史くんの言う通りだ……。
いつの間にか僕は、外のことにしか目を向けていなかった。
結局女の子でも僕は、樹くんに自分の気持ちを伝えることはできなかったと思う。
自分に自信が持てなくて、いつもどこか仕方ないって諦めてた。嫌われるのを怖がっていた。
そんな僕の気持ちの弱さは変わらないから……
やっぱりこれは、僕自身の問題なんだ。
「つーか、誰だって好きって言われたら悪い気しないと思うけどな。それにお前、あんだけのあっつい気持ち持ってんだ。俺だったらすっげぇ嬉しいし、樹も絶対そう思う。それは俺が保証する」
「...でっ、でも」
……きっともう遅い。
敦史くんはそう言うけど、樹くんと坂井さんのことを考えると、やっぱり今の僕に、好きだと言える、ありったけの勇気も、自分で自分を奮い立たせる強い気持ちも、どうしたって持ち合わせることができない。
そうして目を伏せた僕に、敦史くんがまた苛々し始めた。
「ったく!でも、でも、じゃねぇんだよ……やっぱりお前には無理やりでも、強引さが必要だわ。そうでもしねぇと、一生このまんまだからな。おいっ、いい加減出てこいよ!!」
「あ、敦史くん!?」
腕を掴まれ、そのまま立たされる。
急なことに敦史くんを見ると、その目は僕ではなく、どうやら僕の後ろを見ているようで。
その視線の先を追うように振り返ると、そこに居たまさかの人物に、思わず声が震えた。
「……い、いつきくんっ」
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