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俺の隣 09にしおりをはさみました!
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俺の隣 09
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篠原柊side
「はぁ…」
深くため息をついて。
もっかい校舎見て回るか…
そう思って、後ろを向いたとき…
「あ、いたいた!!もー、探したよー!!」
笑顔の薫が立っていた。
「か、おる??なんでここに??」
「だーかーらっ!!言ったでしょ??柊探してたの!!」
俺の隣に駆け寄って。
俺の腕に自分の腕を絡める。
「離せよ。」
俺はそれを拒否するように腕を離した。
「なんで??」
「なんでって…」
「だって、柊は俺のこと好きなんでしょ??」
「…は??」
「俺のこと好きだから、借り物競走のとき、夕貴先輩じゃなくて俺を選んでくれたんでしょ!?」
「…違う。」
「え??」
「勘違いすんな。俺は別におまえが好きだから借り物競走でおまえを借りたわけじゃない。」
「なに、それ…」
薫の笑顔が歪む。
ひどいことしたのはわかってる。
ひどいことを言っているのもわかってる。
でも、いつまでもこのままってわけにはいかないんだ。
先輩の本当の気持ちを知って、改めて好きだと思って…
今度こそ大切にしたいと思った。
だから、薫とのことを中途半端にしちゃダメなんだ。
ちゃんとけりつけないと…
「俺が好きなのは先輩で…。だから、薫のことは好きじゃない。」
「じゃあ、なんであのとき…」
「あれは…」
こんな残酷なこと言っていいんだろうか…??
こんなひどいこと言っていいんだろうか…??
「夕貴先輩を諦めて…夕貴先輩をやめて…俺のところに来てくれたんだよね!?俺を選んでくれたんだよね!?」
「……。」
「だから、あのとき夕貴先輩に別れを告げて空き教室から出て行ったんだよね!?」
「……。」
「ねぇ…答えてよ!!」
俺の両肩をがっちり掴んで。
俺を見上げながら、訴える。
「っ…」
薫の顔を見ると、その目がすごく本気で…
ちゃんとした気持ちを伝えないと…。
どんなにひどいことで残酷な言葉だとしても、友達として…
こんな俺を好きだと言ってくれる薫にちゃんと言わないと…
「薫にはひどいこと言うけど…あれは先輩の代わり、なんだ。」
「え…」
「薫が来る前に先輩を選んでた。でも、周りの目や世間体を気にしてて…。俺も先輩がそれを気にして悩んでること知ってたから…。だから、近くにいたおまえを選んだんだ。」
「そ、んな…」
「ホント、ごめん…。一生言うつもりはなかったんだけど…。おまえの本気の気持ちに中途半端に応えてたらダメだと思って…。最低だと思われても構わない。だって、それくらいのこと、したんだから…。」
「じゃあ、俺のものになってよ…」
「だから、それは、」
「最低なことしたって自覚があるなら、責任とってよ!!俺のものになってよ!!そしたら、何もかも…全部許してあげるから…。今日のことも忘れてあげるから…。」
俺に泣きながら縋ってくる薫になんてひどいことをしたんだろう、と悔やんだ。
「薫はそれでいいのか??」
「え…」
「気持ちが通じ合ってなくて、好きって気持ちも偽りで付き合う。それで本当にいいのか??」
「それは…」
「俺はそんなの絶対に嫌だ。だから…先輩と付き合いだした最初の頃はすげー苦しかった。先輩が俺のこと好きじゃないってわかってて、脅して無理矢理付き合ったから…。」
「柊…」
「でも、気持ちが通じ合って、先輩が好きだと言ってくれたとき…すっげーうれしかった。幸せだった。」
「っ…」
「この人に好きだと言ってもらえるなら…この人と付き合えるなら…本気で何もいらないと思った。」
俺の両肩を掴む手からだんだん力が抜けて。
だらんと手が離れ落ちた。
「薫にも絶対そう思える人が見つかるから。」
「それは!!」
「俺じゃない。」
「っ…」
泣きそうな顔をガバッと上げて。
何か訴えようとしたけど、その何かが聞かなくても俺にはわかってしまったから…。
遮るように、言葉を挟んだ。
すると、泣きそうな顔を隠すようにまた俯いて。
それでも俺は構わずに話を続けた。
「薫は素直だし、かわいいし、優しいし。気遣いも出来て、フレンドリーですげーいいやつだ。だから、俺なんかを選んじゃいけない。」
「え??」
「俺みたいな不良で迷惑ばっかかけるどうしようもないやつを選んじゃいけないんだ。」
「柊…」
「それに、もし付き合ったとしても、絶対にダメになる。」
「そんなの…付き合ってみないとわかんないじゃん!!」
「わかるよ。」
「え??」
「だって、俺は先輩じゃないとダメだから。」
「っ…」
「先輩なしじゃ無理だから。」
「なんだよ、それ…。俺にノロケ話でも聞かせたいわけ??」
「それもそうだけど、薫にはちゃんと好きだって思い合える人と幸せになってほしいだけ。」
そう言うと、俯いていた顔が上を向いて。
俺と視線がぶつかって。
自然と頬が緩んで笑うと、薫は顔を赤くしながら逸らした。
「ごめん、ひどいことして。でも、おまえの気持ち、うれしかった。ありがとう。」
「しゅ、う…」
今にも泣き出してしまいそうな声に頭を撫でようと手を伸ばした。
すると…
「柊!!…柊ッ!!…柊ッ!!!!!!」
絶対に聞き間違えるはずのない、大好きな先輩の叫び声に窓の方を見ると、いつの間にか雨が上がっていて。
グラウンドで必死に探しながら俺の名前を叫ぶ先輩の姿が目に入った。
「ごめん、薫。俺、行かないと。」
「ちょ、待って!!待ってよ、柊ッ!!」
薫の言葉を無視して、俺は無我夢中で先輩のいるグラウンドに向かって走った。
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