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出逢い 5にしおりをはさみました!
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出逢い 5
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バターンッと、大きな音が後ろで聞こえた。
朔馬が振り返ると、奈都が顔から転んでいた。
「…ひくっ、う…」
顔をどうにか上げた奈都の目から、大粒の涙が出てくる。
(っ!ヤバイ!)
朔馬は慌てて奈都を起こすと、どうしていいかわからずそのまま抱きしめた。
「泣くな!」
痛いのに『泣くな』と言ってしまったが、小さい子供には、その言葉がとても残酷なのはわかっている。
だが兄弟のいない一人っ子で、周りに小さい子供がいるわけでもないので、どういうことをしたらいいのが、本当にわからない。
何となく奈都の頭を撫でてやると、奈都は涙は流しているが大声で泣き叫ばなかった。
「…ひくっ、朔馬、『痛いの飛んでけ』して~」
「…は?」
謎のワードがまた、出てきた。
朔馬は、さっきの『おれ』もわかっていない。
「…どうするんだよ」
そう言うと、奈都は涙を拭いて言った。
「『痛いの飛んでけ~』って言って、痛いところにちゅーするの」
「…『ちゅー』っていうのは、あの『ちゅー』か?」
「ちゅー!って」
奈都は目を瞑り、口を尖らせる。
(マジか!)
「拒否したい」
「きょひ?」
難しすぎて奈都が、首を傾げた。
朔馬が噛み砕いて教える。
「えっと、『やりたくない』?」
「なんで~!」
「なんでって、出会ってすぐでキスはねーだろうが!」
「ママしゃんも、兄ちゃんも、してくれるもん!」
(ママしゃん?お袋さんのことか?)
他の名前の人は知らないが、家族間ならではの決まり事なのか。
「無理…」
「痛いの…、うぅっ、ひくっ…」
次々と涙が溢れてくる。
「泣くなよ!なんか目玉出てきそうだぞ…あーっ!わかったから!」
朔馬は覚悟を決めて、おまじないをすることにした。
「間違っても文句言うなよ」
「『痛いの飛んでけ』」
痛いところはどことも聞いていないし、出来れば1回で済ませたい。
躊躇ったが、奈都の額にキスをした。
(なんだコレ…恥ずかしすぎる)
幼児に何をしてんだと思っていたが、奈都の嬉しそうな顔を見れて、どうでもよくなってしまった。
「えへへっ!朔馬、だ~い好き!」
涙を拭いて、満点の笑みで朔馬を見た。
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