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昔の話(チビ大和×竜也)にしおりをはさみました!
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昔の話(チビ大和×竜也)
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(リクお応え。お父ちゃんが、ちゃんとお父ちゃんしていた時期の話です(失礼な……)しばし、お付き合いいただけると、光栄ですm(__)m)
お父ちゃんの大きな愛を、独占。
それは、今も昔も変わらない。
大和の特権です。
そんな二人の、昔の話。
「お父ちゃん…………………これ、何?」
大和、小学一年生。
今日は、小学校へ上がって初めての運動会。
朝からお父ちゃんこと、嵩原竜也はお弁当の準備に追われていた。
「え、玉子焼きやけど………………あかんか?」
「玉子焼き…………………混ぜ卵かと思うた」
「ま…………………一応、巻いたつもりやけどな…………」
(※混ぜ卵…………当時、幼い大和は、スクランブルエッグを混ぜ卵と言っていた)
広いキッチンに二人立ち、嵩原は大和の言葉に口ごもる。
確かに、グチャグチャな見た目。
「幼稚園からお弁当作っとんのに、何でか玉子焼きは上手う出来ひんな…………………」
いや、正直玉子焼きだけではないが……………。
嵩原は、自分の不器用さに溜め息を漏らす。
と、それよりこの『広いキッチン』。
大和が小学一年生の時、嵩原、26歳。
誰もが見とれるピチピチの男前。
ヤクザ界に衝撃を与える、若き組長になっていた。
現在程の大豪邸とまではいかないが、若頭から組長になり、組員も多く出入りする為、昔のおんぼろアパートから徐々に豪邸へ住まいを移している所だった。
「組長………………私が、お弁当をお作りします。組長は、大和さんと出掛けるご準備なさって下さい」
「高橋……………………っ」
キッチンに立ち竦む二人を見かね、奥から高橋が声をかける。
いつの時代も、高橋様々である。
「マジか!?助かるぅ~!高橋ぃ♪……………ほな、大和っ……………着替えるぞっ」
嵩原はホッとしたように大和を抱きかかえ、高橋に笑顔を向ける。
「うんっ!………………高橋、ありがとうっ!」
「はい、お弁当はお任せ下さいませ」
大和もそんな父親にしがみつき、嬉しそうに高橋を見る。
お父ちゃん、大好き。
嵩原の首に、しっかりと小さな手を回す大和の姿からは、その想いが溢れてた。
『六年生の皆さんは、それぞれの持ち場に集合して下さいー』
ジャンジャカジャン~♪ジャンジャカ………♪
場内に響き渡る賑やかな音楽と、アナウンス。
彩り豊かな旗が空を染め、目眩がするような父兄の波。
気合いの入る、生徒や先生。
校庭は、まさに運動会の様相を呈す。
「大和…………なんや、お父ちゃんがドキドキするわ」
ジーンズにTシャツ、白い麻のシャツを重ね着した、爽やかイケメンお父ちゃん………………大和の手を握りしめ、やや緊張気味に登校。
大和の競技の事を考えると、今から緊張で吐きそう。
「お父ちゃん…………緊張のとこ、悪いねんけど……」
「な…………何やねん……………」
「俺、1回教室行かなあかんねやんか……………」
「へ……………………」
お父ちゃん、緊張のあまり大和を父兄席に連れて行く。
「ぉおっ………………ホンマや!」
慌てて、方向転換。
「………………………大丈夫ですかね、組長」
「わからん……………………一応、護衛に付いて来たんや。場所はお取りしとこう」
嵩原親子の少し後を歩きながら、私服姿の高橋と組員一人が苦笑い。
さすがに、まだ若い組長一人では、出歩かせれません。
ヤクザっぽくない顔ぶれを揃え、お付き添い。
二人は、大和の教室へ向かう親子の背中を眺めつつ、丁度良い木陰にシートや椅子を並べる。
「きゃぁ………嵩原くんっ!おはようっ!」
きゃぁ………………?
若い女性担任は、嵩原を見るやいなや、黄色い声で大和をお出迎え。
「あ…………おはようございますっ………橋本先生。今日は宜しくお願いします」
最初の『きゃぁ』に首を捻りつつ、嵩原は満面の笑顔で大和を託す。
「はいぃ♪嵩原くんは足が速くて、リレーのアンカーなんです!是非見てやって下さいね♪」
「そうなんですかっ!?ぅわぁ………楽しみやァ」
橋本先生、テンションが上がるお父ちゃんに、メロメロ。
大和を間に挟み、既に目がハートとなる。
「………………………お父ちゃんしか見てへんな…………」
呆れる大和が二人の間から顔を出すと、ませたクラスの女子達も、お父ちゃんを見上げてる。
「嵩原くんのお父ちゃん、ホンマ格好ええ~♪」
「まだ26歳やてぇ………………デートしたいわぁ♪」
ませ女子、恐るべし。
「お父ちゃんは、俺とお母ちゃんのもんや。気安く近寄らせへんし………………っ」
大和は父親の手を握りしめ、ぷっくり頬を膨らませる。
「大和ぉー、リレー頑張れやァ?お父ちゃん、いっぱい応援したるさかいな!」
そんな我が子のジェラシーを知らない嵩原は、身を屈め大和の頭を撫でる。
周囲の目がどうこう言う前に、嵩原には大和しか見えていない。
「ウン!俺、頑張るっ!!」
お父ちゃんの為に。
笑顔の父親を見上げ、大和はガッツポーズをする。
「わぁ………………嵩原さんっ!!」
「はい…………………?」
多くの大人が入り乱れる、運動会。
ラブラブな親子は、中々二人の世界には入れない。
嵩原が大和に声をかけているのを見付け、図ったように派手目のママ達が近付いた。
「ああ………………おはようございます。え………と、確か………理香ちゃんママに、瑞穂ちゃんママ……と…」
間違ってないよな?
そもそも興味がないので、いちいち覚えてはいないが、嵩原は記憶を辿りながら、ママ達の名前を口にした。
「二人三脚出て下さいません!?」
「は………………………」
「父兄競技、人手が足りないんですぅ」
「ウチの主人は、足を痛めていて~一緒にお願いしたいんですけどぉ……………」
ませ女子は、まだ可愛い。
歳を重ねると、図々しさが先を行く。
お父ちゃん、この日二人三脚で、トラック3周。
他にも、父兄が関わる競技に、やたらめったら引っ張られる。
ある意味、生徒より目立つ。
「もう、お父ちゃん優し過ぎんねん」
大和の方が、気が気じゃない。
でも、だから人気者。
周りは、嵩原がヤクザだと知っている。
最初こそ避けられてはいたが、嵩原の見た目と気さくさで、あっという間に壁は取り除かれたのだ。
『次は、プログラム10、一年生によるリレーです。初めての運動会を経験している一年生達が、一生懸命走ります。皆さん、精一杯応援してあげて下さい』
そんなこんなで、賑やかな運動会は、嵩原家にとって山場を迎える。
キターッ!!!
「たっ………………高橋ぃ!!リレーやっ!大和がアンカーで走るでっ!」
お父ちゃん、早くも興奮気味。
「はい。私がビデオお撮りしますから、組長は応援頑張って下さい」
運動会。
応援に熱の入る嵩原は、ビデオがブレまくる。
見かねた高橋、本日ビデオ係。
『よーい…………………パーンッ!』
一斉に沸き起こる歓声と、小さな子供達の可愛い必死な疾走姿。
「頑張れーっ!!赤組ぃ~っ」
最前列で叫ぶ、イケメン。
若い父親を、周りは温かく見守る。
顔がいいと、何かと得だ。
嵩原が笑顔を振り撒けば、自然と席を分けてくれる。
自分に見とれるママ達を尻目に、お父ちゃんは応援に全力を注ぐ。
「あっ、大和!!あれ、ウチの子なんです!ウチの子っ!!」
ついに来た、大和の番。
嵩原はママ達に話しかけながら、大和の活躍にワクワク。
リレーは、接戦だった。
大和の赤組と、白組が1位2位を競い合う。
「大和…………………っ」
両手を合わせ、祈るように大和を見つめる、嵩原。
まだまだちっちゃな身体で、必死に走る息子の愛しさ。
皆が、1位を狙ってる。
それでも、どの親も、我が子が一番。
絶対勝てると信じてる。
『ゴールッ!!赤組が、テープを切りましたぁ!』
「やま…………………」
泣きそう。
そう思ったら、走ってました。
「大和ぉ…………………っ!!」
「いっ……………………お父ちゃん…………っ」
唖然とする観衆の面前で、お父ちゃんは大和を抱きしめる。
「凄いやんっ!!凄いやんっ!!よう頑張ったなァ!お父ちゃん、めっちゃ感動したぁ!!」
子育てに、いつもまっしぐら。
真っ赤な顔で照れる大和を、お父ちゃんの愛は離さない。
『おめでとうございます、お父さん!お父さんの気持ちが通じましたねっ』
え………………………。
祝福のアナウンスと、温かい拍手。
「げっ…………………」
嵩原、ようやく我に返る。
オマケ。
楽しい、お弁当の時間。
「これ………………四人で食べきれへん…………」
固まる大和の先にあるもの。
沢山のママ達からいただきました、愛妻弁当。
嵩原が不自由だろうと、皆様優しい?心遣い。
「ん……………………どないしよ」
さすがに嵩原も、困惑。
「…………………来年からは、お弁当要りませんね」
モテるって、スゴイ。
高橋は溜め息混じりに、組へ電話をかける。
折角のお心遣い。
きちんと、皆でいただきました。
(長い昔話になってしまいました(汗)疲れた方、すみません………………そして皆様、いつも『恋愛男子+』ありがとうございます。幼き頃の大和と嵩原。春様のリクをベースにさせていただきました。ありがとうございました(〃ω〃))
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