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91にしおりをはさみました!
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91
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「皆様っ、お静かに!」
男にしては高い声がざわざわとした会場に響いた。
聞いたことのある声に吸い寄せられるように
壇上へと目を向けると
あの子か。
「もうまもなく入学式が始まります!」
俺が部屋に向かっている時に出会った小柄な生徒。
どこかの親衛隊の子だとは思っていたけど...。
強引にプレゼントを渡そうとしてきた子だった。
俺は右隣の椅子に座っている生徒に
「あの、すいません彼をご存知でしょうか?」
名前は聞いていないからどんな家の子かも
どんな役職に就いているのかも俺は知らない。
それに知っていて損はない。
ただし右隣の彼はチャラそうだった。
染めたとわかるプリンのような色の髪に
歩くだけでジャラジャラと鳴りそうな
制服ズボンに付けているチェーン。
おまけに一番目立つのは耳についている
沢山のピアスがそれを主張していた。
「ん~?知ってるよん。
名前は花森林檎(ハナモリ・リンゴ)ちゃん。親衛隊総隊長!
すっごいよねぇ~・・・。」
いかにも妖しそうにニヤリとして
こちらを見ながら言った。
「教えてくださりありがとうございます。
・・・あっ、申し遅れました、僕は伏見薙と申します。
同級生同士どうぞよろしくお願いします。」
俺は何の含みもなくあっさりとした態度で
自己紹介をした。
すると彼はますます目を細めてこちらを見てくる。
「今話題の編入生だネ。
俺は花森智秋(ハナモリ・チアキ)だよ~。
よろしく、同級生なんだから敬語使っちゃダーメ」
「えっと・・・。」
「あぁあぁ!ごめんごめん~!
花森林檎ちゃんは~俺の兄貴!」
とても兄貴のような反応じゃないんだけれどな。
「そうなんですね、驚いてしまいました。」
「そりゃぁ驚いちゃうよね~。
腹違いの兄弟なんだよねぇ。」
と笑いながらも瞳は冷たい。
もしかすると話しかけてはいけないような人に
話しかけてしまったかもしれない。
「そーだそーだ!!スピーチすごかったよ~
思わず見とれちゃったぁ!」
「本当ですかっ?そう言っていただけて
とても嬉しいです、ありがとうございます。」
別にこの人に褒められても嬉しくない。
それが本音だ。
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