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18歳以上ですか?
59にしおりをはさみました!
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59
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次から王道きゅんの顔みたら逃げることにしよう。
俺は時間を見て、余裕がある事を確認して
旧校舎の適当な空き教室まで案内した。
のうのうとついて来る王道くんはとても滑稽だった。
キョロキョロして周りを興味津々に見つめている。
「ここ来るの初めてだ!!!」
「そうですか」
「それで!!!友達の意味教えてくれるんだろ!!!」
うるさい
その一言に尽きる。
我慢の限界なんだよ。
「そうですねぇ...友達は
立場を差別せず...信用できて居てて
お互いに楽しいと思う、気が抜けるというか
...気を許している人ですね。
あくまで僕の友達の意味は。」
嘘だけどね、もっともらしい理由な気がする。
もう少し恰好良く答えられたんじゃないのかと
自分にガッカリしたが、次の王道くんの言葉に
さらにガッカリする事になる。
「じゃあ俺と薙は友達じゃねぇか!!!」
嬉しそうに言うお前の思考回路がわかんねぇよ
ムカつくなぁ、本当に...でもこんな奴相手にしてもな。
「僕は君のことを信用していません。
居てて楽しいなんて思いません。
気も抜けませんし許せません。
寧ろその逆ですから。」
真顔で言えば俯いていた王道くんの表情が歪み
纏う雰囲気がガラリと変わった。
「・・・あんた、面白いな。」
声のトーンも大きさも違う。
背筋が凍るような感覚に陥った。
もしかして地雷踏んじゃった的な...。
王道くんは顔を上げて瓶底眼鏡を外し
黒いもじゃもじゃのカツラをとった。
「伏見 薙。四季空学園に編入する前は
家庭教師が全て教え何もかも完璧に
育て上げられた。・・・家族構成は
十年前にとある事件に巻き込まれ死亡した母と
伏見家現当主の父、・・・そして、」
「黙れ」
耐えられなかった。
耐えればこのピンチから救われたのかもしれない。
この状況が...今の俺にとっては苦痛で
次の言葉を言えばこいつを殺してしまいそうだ。
「それ以上言えば、「言わねぇから安心しろ」
目の前にいる王道はアンチじゃなかった。
でも王道でもなかった。
黒いもじゃもじゃのカツラの下は
暗いワインレッド色の髪。
瓶底眼鏡の下は紫がかった蒼色の瞳。
綺麗な顔立ちだと言うのに
それを邪魔する歪んだ口元が
酷く俺の心を掻き乱した。
「お前あんま驚かねぇのな。
まぁいいや、本題だ。」
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