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嫉妬と羨望3にしおりをはさみました!
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嫉妬と羨望3
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(葵語り)
「少し早めに来てみたら、ヘラヘラ笑って何してんの。で、あいつは誰?」
見た感じ、先生はものすごく怒っていた。
嫉妬とかいうやつ……なのかな。
車だからアルコールは飲めないので、ウーロン茶を出すと、先生は黙って一気に飲み干した。島田なんか気配を消してどこかに行った。勘の鋭いやつだ。
「ただのお客さんだよ。ラスクの話で盛り上がって、それで……」
「それで、お菓子を貰って喜んでるんだろ。どうせ今度どこか美味しいものを食べに行こうとか言われて、嬉しいな、先生は甘いものが嫌いだから行きたい、とか思ってんじゃないの。悪かったね、嫌いで。どうせ一緒に食べることはできないし。」
先生はふぅと煙草の煙を一気に吐いた。
いつも俺の眼の前で吸うときは、煙が行かないよう気を付けてくれるのに、全くその素振りがない。寧ろわざと俺に向かって煙を吐いている。
それに予想は、ほぼ当たっていて、会話を聞いていたかと思うくらいの正解率に若干引いた。
「違うってば。松山さんはそんなんじゃない。ただのお菓子仲間だよ。」
煙たくて、少しむせながら答えた。
「なんだよ、『お菓子仲間』って。何かの仲良しサークルのことか。お前はすぐそうやって誰にでも愛想を振りまく。甘いものを貰って付いていくとか、どっかの子供みたいだな。今時、子供だってお菓子じゃ釣られないぞ。」
今日の先生はものすごく機嫌が悪い。学校で何かあったんじゃないかと思えるくらい、ギスギスして、まるで小姑みたいにねちっこい。段々俺も腹が立ってきた。
そこまで言うことないじゃん。
「だからさ……」
「すみません。あの……ちょっと会話が聞こえてきたんで……葵君は悪いことしていませんから。俺が意見を聞きたくてやってることなんで、あまり怒らないであげてください。失礼ですが、お兄さん……ですよね。」
いきなり松山さんが立ち上がり、こっちへツカツカと歩いてきて、先生に言った。
お、お兄さん……に見えるのか。
この人が?俺の?
先生は一瞬呆気に取られた様だが、すぐ持ち直し、松山さんを睨んだ。
「兄、ではないです。まあ保護者みたいなものですが。うちの葵に色々と頼むのは止めてもらえますか。」
『うちの葵』だって。そんなこと考えてる場合ではないけど、なんだか嬉しかった。
「お言葉ですが、悪いことは何1つ依頼していません。葵君はお菓子に関する感性が長けているので、消費者としての意見を仰いでいるだけです。こちらとしては凄く助かってます。あなたこそ、保護者なら可能性を色々と摘むのはどうかと思うのですが。」
嫌な空気が漂い始めた。
ちょっと、こんな所で喧嘩はよくない。
先生だけなら何とかなりそうな問題も松山さんが出てきて余計ややこしくなった。
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