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嫉妬と羨望4にしおりをはさみました!
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嫉妬と羨望4
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(葵語り)
「あなたが下心無しで、葵に接しているなら問題ないですよ。純粋に営業協力だったら、喜んでやらせます。ただ俺が見ていた限りでは、お菓子で釣って、葵が舞い上がってる隙を狙っているように思えたので。もしかして、何か違う感情を持ってませんか?個人的に深い仲になりたいとか。」
先生が毒を含みながら平然と言ったことに、俺は息が止まりそうになった。
いくらなんでも失礼だろう。
それに、松山さんは普通のサラリーマンだ。恋愛対象も女性だろうし、結婚を控えているかもしれない。言い過ぎだ。
どうしよう。どう取り繕えばその場が収まるかなと、同世代であろう2人を交互に見て考えた。
「……そ、そそ、そんなことないです。何を言っているんですか。変な勘ぐりしないでください。いきなり失礼ですよ。」
明らかに松山さんが動揺した。俺でも分かるくらいに目が泳ぎ始める。
え、まさか……ね。
いや、まさかだな。突拍子もないことを言われたからの動揺だろう。俺をどうにかしたいとか先生じゃあるまいし、あり得ないよ。
「ほら、少しくらいその気があったんでしょう。今だって俺に怒られている葵を助けて、点数を稼ぐつもりだったのではありませんか。葵に気に入られたいんですよね。」
容赦ない先生の追い込みに、松山さんが黙り込んだ。
「っ先生。もういいから、この話題はお終い。松山さんも席に戻って飲み直してください。ラスクの感想は後でメールします。俺の知り合いが変なことを言ってすみません。気にしないでください。気を悪くしましたよね。本当にごめんなさい。」
お客様に不快な思いをさせてしまったのは確かなので、精一杯申し訳ない気持ちを込めて謝った。
「………いいや、俺は構わないから。こちらこそ迷惑かけて申し訳なかった……嫌な思いをさせたね。葵君、またお菓子について意見を貰えるかな。」
「ええ、勿論です。また来てください……ね。」
取り敢えず、松山さんを先生から離して、少し前から遠巻きに見守っていた彗さんに託した。
「先生はこっちに来て。」
「ちょっと引っ張んなって。痛い。」
俺は先生をスタッフルームに連れて行った。
スタッフルームでは、ドアの後ろで面白そうにニヤニヤしている島田がいた。会話を全部聞いていたらしく、悪代官みたいな顔をしている。悪趣味だ。
「熊谷先生、流石だね。すぐ気付いたんだ。面白かったから僕はそのままにしておいたんだけど。あまりにも葵君が鈍すぎて、どうなるか見たかったし。じゃあ、僕は行くね。葵君はもう終了時間でしょ。お疲れ様。」
「お疲れ……さま。って島田も知ってたの……?」
「あのお客さん、松山さんだっけ?葵君がバイトの日をわざわざ確認して毎回帰ってくんだよ。しかも、いつも葵君の姿を目で追ってる。葵君と話してる時、顔は楽しそうなのに、緊張して手が震えてるの。
いい年した初恋みたい。あれ、本当に知らなかったの?」
言いたいだけ言って島田が去り、しぃんとした室内でショックを受けていた。
先生を怒ろうとしたのに、一気に失せた。
当事者が知らないってあり得ないよな。
俺って鈍いのかな……
先生が近づいてきて、俺の肩を引き寄せた。
「これだけ言われてもまだ気が付かないのか。兄としては、お前の鈍さが心配だな。ま、そこも可愛いから好きなんだけど。」
兄って言われてまんざらでもないらしい。
まあ、兄さんでも呼び方が違うだけで別段問題ではない。
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