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青春狂走曲9にしおりをはさみました!
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青春狂走曲9
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(真理語り)
やはり僕の第六感はハズレが無い。
予想通りの展開に、ほくそ笑んでいたけど、葵君の悲惨な状況を見て可哀想になった。でも面白いから笑っちゃうけど。
コーヒーに濡れた葵君が、担任の先生に保健室へ連れていかれた。金魚のフンみたいについて行くのも気が引けるので、着替えが終わったら連絡してと伝えて、しょうがなく神田と校内を回ることにする。が、こいつはよく話すものの、めちゃくちゃ内容がつまらない。葵君と同じく話を適当に流していた。
「島田さんって、あそこのカフェで働いているんですよね。店長さんかっこ良くないですか?イケメンってオーラが凄いですよね。ぐわーっみたいな。すごいっす。」
不思議な効果音は置いといて、自分の恋人を褒められて悪い気はしない。彗さんはイケメンだもん。神田も偶には良いことは言うようだ。
「そう?本人に伝えておくよ。きっと喜ぶから。あ、そう言えば、葵君から聞いたんだけど、君が憧れてる牧村さんって下の名前が亮太じゃない?」
神田の目が驚いて大きくなった。
「何で知ってるんですか?まさか、島田さんも………ダメですよ。渡しませんよ。俺の牧村さんですから。」
僕は個人的に牧村さんを知っていた。
誰があんな目つきの悪い不良上がりを好きになるかよ。今は更生してるらしいけど、昔の片鱗はまだ健在な気がする。しかも、彼はバツイチで子供もいるんじゃなかったかな。離婚して真面目に働いているとかいないとか聞いた。
今更な気がするけど、人生はきっかけが大事らしい。やる気さえあれば、いつでもやり直せるって兄ちゃんは口癖のように言っている。
「渡されても要らないし。亮太さんは、うちの兄ちゃんの後輩なの。この間、たまたま会った時に、高校の事務やってるって言ってたから、もしかしたら亮太さんかなーと思って。でもさ、本当にあんな人に憧れてるの?喧嘩は強いけど頭は良くないと思うよ。」
ここの高校での事務もコネで入ったようだ。真面目にやっているようだから、僕達兄弟は安心していた。亮太さんは悪い人ではないけど、ガラの悪い不真面目な大人だ。
「牧村さんはいい人ですよ。あんなにかっこよくて優しい人はいません。俺の憧れです。」
「好きにしてもらってもいいけど、せいぜい頑張りなよ。」
それに、バツイチだし……と余計なお世話で付け加えようとした時だった。
「やっといたよ。今日こそ説教するからね。本当に神田は悪い子だ。あ、いえ、私はここの生徒指導をしている教師です。すみませんが、この子を連れて行きますから。いいか、大人しくしろよ。」
「ちょっ、は?時田……せんせ、やめっ。」
凄いスピードで僕と神田の間に、体積の大きな自称生徒指導教師が割入ってきた。
この人も眼鏡をかけているけど、顔に食い込んでいて、慧さんとは全く違う。素材の違いにしみじみと感心した。
生徒指導って何人かいるんだ。熊谷先生の他にこんな怪しい教師もやっているのかな。それにしても不意打ちすぎるし、神田がやけに嫌がっているけど演技か?それとも本気か?
考えていると、あっと言う間に神田を連れて行かれそうだったので僕は慌てて2人を追いかけた。
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