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必需品はマスクでしたにしおりをはさみました!
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必需品はマスクでした
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突然ですが。
「薫、大丈夫か?」
弟が風邪をひきました。
ケホッ、ケホッと咳をする薫は昨日の夜からダルそうで、今日の朝には熱まで出てきた。
ベッドで寝てる薫の髪をサラリと撫でる。
「あ、さにぃ」
小さな声で呼ぶ薫は相当弱っていて、今日は俺も大学を休んで薫に付き添っていようと決めた。
「なんだ?欲しいものあるか?あー、お粥なら食べれそう?」
「あさにぃのお粥なら、食べれるよ」
そう笑う薫のために早速お粥を作ってやろうと、早速台所へ向かう。
うん、風邪の時は梅干しだな。
好き嫌いはない方だから、梅干しとかも普通に食べれるだろう。
その後薫にお粥を食べさせ薬を飲ませ、ゆっくり寝せる。
スヤスヤと眠る薫の横で、薫の携帯電話が大きくなった。
起こしてはまずいと、慌ててとったが……
『やっほー薫くーん』
と、いかにも明るそうな男の声。
「あの、」
『誰?』
「薫の兄です。薫今風邪ひいてるんで、後にしてもらえませんか?」
『…』
少し押し黙った相手は、仲間でもいるのか電話口の向こうでざわざわと話す声が聞こえる。
『もしかしてー、亜沙樹さーん?』
いきなり名前を言い当てられて焦ったが、まぁ薫が言ったのなら頷ける。
「まぁ、はい。そうですけど」
『あーはいはい、あの亜沙樹さんね、おっけー』
いや、全然おっけーじゃない。
1人で納得されても困る。
あの亜沙樹さんってどの亜沙樹さんだよ。
「あの、切っていいですか」
俺がそう言うと、
『まじムカつくー』
それだけ言い捨てあっちからブツッと通話が切れた。
「…」
しばらく固まった後、思いっきりため息がでた。
俺、今回は本当に何もしてない。
ただ電話取っただけだし。
え、なにこのご時世電話取っただけでムカつくなんて理不尽なこと言われんの?
な訳ないか。
薫が起きなくてよかったと、ずれた布団をまたかけ直す。
「お前は、」
お前は凄いな。
いろいろな人に好かれて、本当凄い。
ー羨ましい。
小学生の時、薫ばかりに群がる同級生を見てそう思った。
中学生、高校生ではもうさすがに慣れたが。
どうやったらお前みたいになれるのかと悩んだ時もあった。
けれどそれは早くに諦めた。
どうやってもお前にはなれないと気づいてしまったから。
夜になり、だいぶ薫の熱も引きてきた。
「ケホッ」
ーん?
今咳が出たのは、俺の方。
「やばい」
急いでうがいをしに行ったが、意識すればするほど喉の痛みは増していく。
しまった、と頭を抱えた。
気をつけてはいたが、あれだけ病人のそばにいたらそりゃそうなるな。
マスクもしてなかったし。
「ケホッ、」
どうやら俺は、
薫の風邪が見事にうつってしまったらしい。
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