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5にしおりをはさみました!
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5
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立ち上がってみたものの、少し頭がズキズキしてまたしゃがみ込んだ。
ぶつかったであろうところを触ると、たんこぶみたいになっている。げげ。
足元に目を落としたままその膨らみを無意味に撫でる。
やんなっちゃうなーもーと小声で文句垂れていると、ふと目の前に影がさした。
「ツル?どしたん?」
「……ボールぶつかってたんこぶできた」
「えぇ嘘どれどれ」
心配してくれるかと思いきや、トラはたんこぶに興味津々なようで、無遠慮に俺の頭を探り始めた。コイツ信じられん。
咄嗟に仰け反ってトラの手から逃れる。
「やめろって馬鹿!痛い」
「ありゃ、めんご」
「ウザっ」
「あ、お前生きてたん?死んだかと思った」
トラの軽い調子に毒突くと、後方から聞きなれない声が聞こえて、トラと同時にそちらへ顔を向けた。
ボールを肩に抱えて近づいて来たのは、名前はまだ覚えていないが顔だけは見覚えのあるクラスメイトだ。
生きてたとか死んだとか、物騒な言葉に眉を顰めながらも無言で彼を見つめ返す。
「川島」
「さっき俺の投球が当たってぶっ倒れたからさー。生きてて良かったな」
トラの呼びかけにこいつ川島っていうのかと心の中で認識して、せっかく声をかけてくれたのだ俺も挨拶を———
て、
「……貴様かァァ!!」
「うわ何、ごめんて」
悪びれもせず自供した犯人に叫びながら掴みかかると、俺の勢いに気圧されたのか、素直に謝られた。
しかしその程度の謝罪で俺の怒りは鎮まると思うなよ。
「気付いてたんならすぐ様子伺うなり手当てするなりするだろうが普通!放置ってどういうことだ!おかげでたんこぶできたわ!一人で痛い思いして一人で耐えるこの辛さがお前に分かるか!?心にまで切ない痛みを負ったわボケ!!」
「ぶはっ、悪い悪い、くくっ……でも元気じゃん」
「何を笑っている!?笑い事じゃないだろうが!今も叫びながら頭ガンガンしてるわ!!」
「うん、じゃあちょっと黙ろうかツル」
ヘラヘラしている犯人——もとい川島にヒートアップして捲し立てていると、珍しく冷静なトラに頭と口を押さえつけられた。
後ろから抱え込まれているような体勢だ。
ちょっと落ち着いて口を閉じた。
トラの手は丁度たんこぶの辺りに添えられている。
「結構たんこぶ酷くね?」
「……あたま痛い」
「保健室行ってきなー。先生には俺から言っとくから」
「マジ?そんな酷い?あれくらいで?」
「川島、ツルは俺らと違ってか弱いんだから乱暴に扱っちゃダメよ」
「……トラのばーか!保健室行ってくる!」
咄嗟に悪態をついて拘束を振り払う。
俺の言葉にびっくりしたようなトラに構わず、保健室へ向かうためその場から駆け出した。
「えっ、なんで今俺罵倒されたの?」
「さぁ……文字通り馬鹿だからじゃね?」
「……解せる」
「否定形じゃねーのな」
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