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18歳以上ですか?
13にしおりをはさみました!
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13
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2人のやり取りを眺めながら黙々と食べていると、不意に話を振られた。
「な、ツル。ヒコさんめっちゃ歳上に見えるよな」
「……えーっと」
よりによってなぜその振り。
俺は試されているのか。
ちらりと件の先輩に目をやると、仏のごとく儚げに微笑まれた。なんだその切なげな表情は。胸が痛い。
俺は頭の中で慎重に言葉を選びながら口を開いた。
「……雰囲気が、大人っぽいんだと思います。貫禄があるっていうか、安心感があって落ち着くんです。頼り甲斐のある兄貴!って感じ、です」
「そーそー!それ!アニキ!めっちゃ分かる!」
「……老けてるってことじゃなくて?」
「とんでもないです!見た目は年齢相応です!中身から滲み出るオーラが大人びて見せてるんです!」
必死にそう伝えると、先輩は俺をじっと見た後、眉を下げて笑った。
そしてぽんぽん、と頭を撫でられた。
「君はいい子だな。こんな所にいて大丈夫か?ここのヤツらに染まらないでくれよ」
「大丈夫ですー!ツルの純潔は俺が守る!」
「トラお前ちょっと黙れよ」
「そういや名前まだ聞いてなかったな。俺は木原昭彦(きはら あきひこ)。皆からはヒコとかヒコさんって呼ばれてる」
「俺は望月千鶴です。皆からはツルって呼ばれてません」
「ツルって呼んでんのは俺だけな!」
「虎鶴コンビってそういうことな。こいつが嫌んなったらすぐ言えよ。俺が処理してやるから」
「処理って何……!?」
トラが顔面蒼白する横で俺は喜んで頷いた。
ようやくまともな人間が味方についてくれた気がして心底安心した。
木原先輩はかなり面倒見のいい優しい人のようだ。そしてちょっとコンプレックスがあって繊細な人。
俺の中の好感度ランキングで一気に上位に上り詰めた。早速連絡先を交換してもらって嬉しさににやけてしまう。
それから色々と話して分かったのは、木原先輩は生徒ながらここの保健室でほとんどの時間を過ごしていて、保健医の役割を自ら進んでやっているらしい。
なんでもここの生徒達は生傷が絶えずろくに治療もしないので、その度先輩が怪我人を保健室に連れてって治療してやってるうちにもういっそ自分が保健室に構えてたらいいんじゃね?という結論に至ったとのこと。
この人、どこまでお人好しなんだ。
ちなみに最初に俺を引っ掴んで脅してた?のは、俺が要注意人物かどうかを自分の目で確かめるためだったのだとか。
実際に俺が危ないヤツだったら、早めに手を打つつもりだったらしい。
……それを笑顔で言われたときはさすがにゾッとした。
やっぱり、ここの人達は只者じゃない。
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