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「俺、時々思いますよ。なんで久夜が隣にいてくれるんだろうって。
久夜には俺なんかよりもっといい人がいたんじゃないかって。
それに、誰かと仲良さそうに話してるのとかも、いいなーとか。普通に思いますよ。」
だって好きだから。
相手の全てを知りたいし、できれば相手の目に映るのは自分だけであってほしいとか思う。
だけど、俺は同じだけ、もっとたくさんの人に久夜を知ってほしいとも思う。
バスケしてるとことか超絶カッコいいから、もっと見せびらかしたいって。
すっごい矛盾しながら、それでも久夜の隣にいる。
「それはちょっと意外。廣川って結構冷めたイメージあるし。」
「それ蒼先輩には言われたくないですよ。」
蒼先輩とここまで話せるようになったのも、全部京介先輩のおかげだ。
スタメンの先輩と話す機会はたくさんあって、京介先輩と八尋先輩はよく話かけてくれるし、衿夜先輩と閑流先輩もわりとフレンドリーに話しかけてくれた。
だけど蒼先輩だけは、ちょっと時間がかかった。
それをどうにかしてくれたのは京介先輩だった。
もしかして、先輩が隣に立ってるのは、京介先輩…?
「俺は人見知りなの。」
「…先輩にとって、隣に立つ人気者って京介先輩なんですか?」
「そうなるのかもね。京介がどう思ってるのかとか、全然分からないけど。」
「でも仲いいですよね。」
今年のクラスは違うみたいだけど、部活では一緒にいること多いし。
2人組のストレッチとかはいつも一緒にやってる気がする。
「幼馴染みだから。家が近くて、小さいころから一緒だったから。
…その名残みたいなものだよ。」
幼馴染み、かぁ。
小さいころから一緒、とかいう友達がいない俺にはちょっと憧れる響きだ。
だって小さいころから一緒にいて、なんでも知ってるわけでしょ?
それってちょっとうらやましい。
「京介先輩は、…」
「俺がどうかしたか?ってかお前ら2人なんでこんな端にいるわけ?こっちこいよ。」
「いいよ、別に。廣川と話すの楽しいし。」
タイミングがいいのか悪いのか、話を続けようとしたところに京介先輩がきた。
なんつータイミングでくるんだ…。
相変わらず、わいわいしてる他の先輩たちをみると、素面であの騒ぎなのかと、飲酒を疑うレベルでテンションが高い。
俺もあそこに入っていく勇気はないな…
「相変わらずだな、お前は。ってか飲み物なくなってんじゃん。
コップちょうだい。お茶でいいんだろ?」
「あ、うん。」
何気なく蒼先輩からコップをとった京介先輩は、中央に置いてあるテーブルの方にすたすたと歩いて行った。
…すごい執事みたいだ。
「京介先輩も優しいですよね。」
「世話焼きなだけな気がするけど。それでも傍にいてくれるうちはまだマシかな。」
「え、それってどうゆう…」
「はい、お茶。で、なんの話してんの?俺も混ぜてよ。」
…本当にタイミング悪すぎる、京介先輩。
俺は特に何も言わず、蒼先輩の方を見てみる。
蒼先輩は俺でもわかるくらい嫌そうな顔をして京介先輩を見ていた。
そりゃそうなるよな、と京介先輩を見上げてみるけど、何も言いださない俺たちを不思議そうに見ていた。
…こーゆーところ、久夜に似てる。
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