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助けた亀につれられて→side unoにしおりをはさみました!
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助けた亀につれられて→side uno
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頭がズキズキいてえ…………。
目を開けると、知らない天井。
甘い甘いオイシイ匂いが、空気中にまったりと充満している。
あー、ここは天国かもしれねーな。
愛しのベリーちゃんが、オレを連れてきたに違いねえ。
「あ、気がついた?!良かった!」
どこかのリビングのソファーのようだ。軽く身じろぎして起きようとすると、栗色の髪のオニイさんは、シャワーを浴びたでのシャンプーの匂いをさせて近寄ってくる。
「あ、ああ……よく、覚えてねぇケド……」
「急に倒れるから、ビックリしたよ。でも、助けてくれた君は僕の恩人だよ。ありがとう」
お礼を言われるが、オレはベリーちゃんの仇をとっただけだ。
礼を言われる筋合いはない。
「アンタもケガしてたんじゃねーの?」
「君ほどじゃないよ。僕は、久亀志津哉(くきしずや)。この店が地上げ屋に狙われててね。チンピラたちが押しかけてきたんだ」
店か。
確か、通った道の前には昔からの洋菓子店があったが、コックの格好をしてたし、この人が店主なのかもしれない。
オレの好きな可愛いデザートがありそうもないくらいの古くさい店だったのでノーマークだったな。
まあ、洋菓子店なんて、入れやしねーんだけど。
「大変…………だな。」
潰れそうな店だし、やっぱり目をつけられちまってるんだろうな。
「あ、そうだ。君の荷物拾ったんだけどね。パフェをダメにしちゃったから……」
テーブルの上を見ると、ベリーちゃん以外のペットボトル、おにぎりを拾ってくれたのか袋に入っている。
あ、そうだ、また買いにいかないと。
時間を見ると、24時を回っている。
「お礼もかねて、似たようなの作ってみたんだ」
久亀は冷蔵庫をあけると、ベリーちゃんの倍はありそうな容れ物に、木苺をふんだんにまぶした、ベリーちゃんより豪華な飾りのついたパフェをオレの目の前に出した。
「あ、あれは、オレのじゃ…………」
思わずカッコつけて、オレのじゃないと、目の前のゴージャスベリーちゃんの誘惑に負けないように、必死で言おうとすると久亀の悲しそうに歪んだ顔にぶつかる。
「甘いの、嫌いなのか?」
この世に絶望したかのような顔にぶつかり、オレは首を横に振った。
オレの中の何かが、この人を悲しませてはいけないような、変なスイッチが入ってしまったのだ。
「…………いただきます」
スプーンを差し出され、見た目はベリーちゃんの何倍も可愛らしく飾られたソレに、オレはスプーンを突っ込んだ。
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