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久しい騒がしさにしおりをはさみました!
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久しい騒がしさ
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「やーっと戻ってきた」
「あれ、やっぱり嘘じゃないんだな……」
画面に親父が出てきたこと、嘘だとしか思えなかったのに。第一あのテキトー人間がここに来ること自体ありえないっていうか。
「ウリちゃんは!?無事なの!?!?」
どこから湧いて出たのかエルが跳びかかかってくる。腕に抱いて、俺の上着だけを被せたウリエラを落とさないように少しずれる。
よく寝てるウリエラを起こすのも可哀想だし。
勢いよく飛び込んできたエルは、そのまま地面に落ちる。
「神崎に拉致されてからなんか倒れてるし、なんか変な部屋で監禁されてるしボロボロだし!アタシすっごく心配だったのよ!?今も……気絶してる!?」
「違う。今は寝てるだけ。だから静かにしとけよ、エル」
こんなやかましいオカマに起こされたんじゃ寝起きも悪そうだしな。
「あのー、お取り込み中にほんますいません。そちらさんが御門のご当主でおうてます?」
「えーっと、君は?」
「申し遅れました、俺は桂樹家の家令を代々務める、鳴弥家の者、圭翔と申します。ご当主に置かれましてはご機嫌麗しゅう」
「あぁ、あのビッチ一家のとこだな。で?なんで家の息子と一緒にいるんだい?」
「ビッチやない!ちょーっと他より魅惑的なだけや!」
さっきまでの完全に作ったよそ行きの口調が、一気に剥がれる。こっちの方が楽でいい。
ていうかこんな親父に敬語を使う必要なんてなし。
「圭、お前本当にアイツのこと好きだったんだな……」
もはや引くわ。わけわかんない弁明をするくらいに好きとか……。
「はっ!そうやなくて……。しばらく家に帰られへんので、お世話にならせてはくれませんでしょうか」
「んー、いいけど、俺の息子たちの邪魔はダメだよ?」
チラッとこちらに視線をよこしてはウィンクを決める親父。いい年こいてこいつもなかなかに恥ずかしいやつだった。
「大丈夫です!俺はまだ見ぬ冬夜のお姫さんよりも桜珂の方が可愛ええと思っとるんで!」
なんか、失礼な気がする。
まだ見ぬってなんだ、まだ見ぬって。さっきからずっと、俺が抱いてるよな?
ムカっときて思わず言い返してしまう。別に、惚気けるつもりは微塵もない。
だって当たり前だろう?
ウリエラの声も、顔も、性格も。全部誰よりも可愛らしいんだから。
「いや、絶対にウリエラの方が可愛い。あんなビッチなんかよりも、ぜんっぜん」
「せやからビッチやない!……ん?ウリエラってどっかで……なぁ、その子と同じ名前なのは偶然?」
「偶然じゃねぇよ。コイツだから。俺の彼女」
冗談だろ、なんて目で見るのはやめて欲しい。男なんてありえない、みたいな顔。
「いや、まぁ、天使の中でも美形やとは思うけど……その子にもついとんのやろ、ちんこ?」
「そこらの女より美人だから。まぁな、モテない駄犬には分かんねぇだろうけど」
「なんやそれ!失礼なやつやな!」
「いいのか?俺にそんな口聞いて。丁寧にダンボールにつめて、桂樹の所に送り付けてやってもいいんだぞ?」
「それはやめよう!?」
行きよりも騒がしくなった一行は、漸く天界を後にした。
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