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18歳以上ですか?
お客さんにしおりをはさみました!
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お客さん
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「ねぇウリエラくん、今晩お客さんが来るんだけど、君も来る?」
今まで僕はひたすらに秘匿されてきた気がする。
この一週間、僕が会ったのは、神様とミカ課長だけ。神様の執務室には誰も来なかったし、多分神様がいなかった時は応接室とかを使ってたんだろう。
でも今回は、珍しくそんなことを尋ねられた。
そんなに信頼出来る人なんだろうか。
じゃなきゃ神様はきっと僕を他人に会わせようなんて思わない。
「いいんですか?僕が行っても」
そう返すと驚いたような顔をする。僕が気づいてないと思ったら大間違いだ。
「っはは。大丈夫、というか是非ウリエラくんには来て欲しいんだ」
「僕に…ですか?」
「そう。下界からのお客さん」
下界?それならたぶん
「兄さんのことも、分かるかもしれない…と?」
「そうだね」
頷いた神様の顔は、僕の興奮の前には映らなかった。だから知らない。その時意味深な含み笑いをしてたのを。
「是非、一緒に行かせてください」
「そういうと思った!じゃあ君の服を準備しなくちゃね」
神様がバッと立ち上がった勢いで、机の上にうずたかく積み上がった書類の何枚かがヒラリと宙を舞う。
そんなことを気にしない神様は、ツカツカと僕の元へ歩みを進める。
「あの、仕事を終わらせてからにしてください!僕は別に軍服でも……わぁっ!!」
「夜までもう時間ないんだよ!軍服なんか味気ないだろ!ほら、さっさと歩く!!」
「はっ、はいぃ!」
止めようとしても腕を掴まれてそのまま引きずられる。いつもなら冷静に神様を止めるミカ課長も、今日はなんだか留守にしているようで。
はぁぁ、やっぱり僕はミカ課長みたいにはなれないや。そして兄さんみたいに優秀にも
ズルズルと引きずられる中で、僕の頭はすごく呑気だった。
▽
そのまま連れ込まれた服屋で適当なシャツとジャケット、そしてチノパンという、カジュアルなのかフォーマルなのか、よくわからないものをセレクトされ、着替えさせられる。
あれじゃないこれじゃないととっかえひっかえされる僕の気分はまるで着せ替え人形。
何回か試着を繰り返して、漸く納得のいくものが見つかったらしい。
誰かわからないけど、神様がここまで手を尽くす人間ってどんななんだろう?
ふとした疑問が頭をよぎる。
下界のお客さんってことは多分人間。だけどそんな丁重に扱うほどの人間なのか、なんて考えてしまう僕は、平等であるはずの天使には向かないのかもしれない。
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