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プロローグ4
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◇◇◇
先生方が学校に来る一時間前が俺の出勤時刻だ。鍵を開け校内に入ると警告音が鳴り始める。
廊下に設置されている機械に3桁の番号を入力して、セキュリティを解除した。
うっかり先に他の部屋にでも入ろうものなら、サイレンが鳴り響き、即座にセキュリティ会社に通報される。
そんなヘマをしたことはないけど、春に前任者から指導を受けた際に繰り返し注意をされたから気を付けている。
俺は3月まで地方公務員をしていた。
「人を守る仕事」なのは、今と変わらないが、信頼と安定した将来を手放して退職した。
ほぼ強制の「自主的な」休日出勤や、毎日6時間以上残業する生活に心底疲れたからだ。ちなみに、休日出勤分の給与や残業代は出ない。
決して俺の能力が無かったわけではないと思う。
(そう思いたい)
俺よりずっとベテランの人、それこそ定年間際の人までそんな風に働いていたんだから。
そりゃそんな毎日じゃ将来にだって絶望する。実際に死んだ人だって居た。それも、勤務中に。
今でこそ言える。あそこは異様な職場だった。
それに比べたら今は随分と楽な仕事だ。警備といったって、外部からの侵入者から生徒を守るわけではない。
もちろん不審者が居れば対応するけど、俺の主な仕事が何かといえば、生徒が暴れた時に止めることだ。
うちの県にある私立高校は大体二種類に分けられる。
勉学や部活に力を入れている、もしくは特殊な学科のある良いイメージの学校と、公立高校に見放されたやつらの集まる、最後の受け皿的な役割の学校。
俺が働いてるのは、後者。最後の受け皿というと聞こえはいいが、お金さえ払えば、余程酷いことをしない限り卒業出来る学校のほう。
今時、乱闘騒ぎが毎日起こる学校があるなんて、俺は春まで知らなかった。
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