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プロローグ5
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仕事が変わって困ったことは何もない。
(いや、あるか)
某学校を卒業してから多忙な毎日ですっかり忘れていたものの、俺は尋常じゃなく性欲が強い。
別に仕事に支障をきたすことは無いからセックス依存症とは違うと思うが、単純に行為の頻度で比べてしまえば大差はないだろう。
幸い自分でも見てくれがいいと自覚している。相手に不自由はしなかった。
ただ、遊びの相手に勝手に惚れられて、なし崩し的に付き合うものの、それほど時間が経たない内に振られるのには困った。
先に惚れてきたのは向こうでも、愛着というか、情というか、セックス以外の時も一緒に居ることが心地良くなってきた頃に、
『何を考えてるか分からない』
などと言われて振られても、どうしたらいいのか俺のほうこそ分からない。
セックスの回数が多すぎるとか、俺が浮気したとか、何かしら否があるなら別れを告げられても仕方ない。だけど、頻度が多いと言われれば回数は減らすし、恋人が居るのに他の女と遊ぶほどいい加減な性格はしていない。
――もしかしたら、感情が出ないという顔のせいだろうか。
楽しい時は笑う程度の当たり前の感情は持っている。自分でも別に隠さず表に出しているつもりだ。しかしなぜだか相手には伝わらない。
氷の――、なんだったかな、俺には全然似合わない変なあだ名で女性職員がキャーキャーと騒いでいたのは。毎朝ちゃんと笑っているつもりなのに、やはりそれも伝わっていないらしい。
自分では表しているつもりなのに、『何を考えてるか分からない』と、一方的に振られることが続けば、もう誰かと付き合うのは嫌だと思うのも自然な流れだ。
遊びでも、女とセックスすると恋愛が絡んでくる。
男とセックスするのには抵抗があるけど、一人でするよりは余程いいと同性にフェラされるようになったのは、いつのことだっただろうか。
女とは違って、断れば恋愛関係に持ち込もうとする人は居なかった。
お手軽で、気持ちが良い。案外挿入しなくても抜いてしまえばそれで満足する。相手の姿を見ると萎えるけど、それなら見なければいいだけだ。
性欲が処理出来さえすれば、相手の性別はもはやどうでも良かった。
――副理事長を筆頭に、徐々に先生方が出勤してきた。
「おはようございます……!」
毎朝、警備室のガラス窓を通してもハッキリと聞こえる声で挨拶してくるのは体育科の三木先生。
満面の笑みを浮かべている頬にはハッキリとエクボが見える。あれくらい感情が分かりやすければ、もう少しまともな恋愛が出来たのかもしれない。
俺にはとても真似出来そうもないけれど。
自分なりに微笑みながら、多分それも伝わっていないと諦めつつ頭を下げた。
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