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side ハミド
『お楽しみ中でしたか?』
電話の向こうに薄ら笑いのカリフが想像出来る。
『お前は解ってて、かけてきたのか?』
『滅相もございません。突然、金を用意させたり、ヴィロトリア女王の事を調べたさせたり、ハミド殿下におかれましては大変活発に動かれているご様子で何よりです。さぞや決算書には大幅黒字が見込まれましょう。』
『お前は嫌味を言わないと死ぬ不治の病でも患っているのか?何か分かったなら、とっとと報告しろ。』
『失礼。ヴィロトリア女王の背景ですが、面白い事が解りました。現在彼女の交際相手は、あのアレフです。』
『‥これまた厄介な話だな。』
『はい、ヴィロトリア女王が、アレフという人間をどこまで知っているのかはまだ分かりません。ですが、アレフを好きなのであれば勘当同然に我が子を放り出した陛下に、一矢報いたいと思う事は自然ではないでしょうか。』
『そうだな、何か誤解があれば解いておきたいところではある。ヴィロトリアの収める国というのは、どんな所なのかいまいち掴めていない。』
『まぁ、あまり情報の出ないマイナー国ではありますが、専制君主制とは名ばかりの国民とは距離が近い国です。自然も豊富にありますし、のどかな田園風景で、アレフ殿下は大変スタイリッシュな王子に映るのではありませんか。』
『あれがっ!』
『恐らく、あれがです‥。競馬にしても、たまたま運良く展開に恵まれ、騎手の腕で勝っただけのようですし。そもそもエプソムの大レースもぎりぎりの資格で出られたようです。
その、テル様は、ここの所色々と不運が続いていただけのようですね。』
『くっ、頭が痛い問題だな。何とかならんか‥そうだ、ザイール兄上には連絡を取っているか?』
『はぁ?ザイール殿下ですか、恐らく独自の情報網があるでしょうから、この件はご存知と思いますが‥』
『アレフですらスタイリッシュに映るヴィロトリア女王ならば、ザイール兄上からお話頂けるならば、話は早そうではないか?』
『はぁ、そんな事にご協力頂けるでしょうか。』
『俺と違い、兄上はキツイからな。色々と、溜まっているものもお有りだろうが今まで見逃してきている過去もあることだし。俺としても、父上、母上、ときてそろそろアレフに引導を渡さねばなるまい。』
『御意にございます。では、ザイール殿下には私から経緯を説明して、指示を仰ぎます。‥と、それとは別件でシオンの事ですが、その、宜しいのですか?ご身分を明かさなくて。』
『うん?それはまだ、時期尚早だ。もう少し環境を整えてから、話したい。』
『ハミド殿下がそれで良いならいいのですが、シオンも待ちくたびれて何処かへ逃げて行ってしまうかも知れませんよ。』
『そんな事は、俺が絶対に許さない。シオンが居なければ俺は息すら出来ない。泣いても縛りつけてでも絶対に離さない。』
『その執着心が怖いです‥シオンが本当に哀れです。』
『それが俺だからな。仕方ないとも思って貰うさ。シオンには情けをかけてもらえるよう、せいぜい尽くすとしよう。では、そろそろ切りたいがいいか?』
『はぁ、シオンと居たんですね‥少しは手加減してくださいね。ドハがシオンは鶏ガラのようだと心配してました。』
最後まで小言を言って、カリフは電話を終えた。
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