アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
142にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
142
-
side ハミド
『続きまして、ヴィロトリアの国の情報についてですが、識字率は80%を超え、独自の自文化を愛する、節度ある国柄と呼ばれています。今は亡き、先王が鎖国政策を敷いたそうですが、先進国や経済大国に食い荒らされないよう、自国を守る為の政策でしたので、国民には受け入れられています。
軍部もありますが、あくまでも自衛の為で、生前先王自ら毎年一兵卒として国民と共に汗を流していたそうです。』
『王家と国民は、良好な関係に見えるな』
『申し上げましたように、先王の代は、です。ヴィロトリア女王の資質については、以前から疑問視された為、王配、つまり女王に代わって執務を行うような優秀なものが夫になり、ヴィロトリア女王はあくまでも象徴的な存在であるべきだったのです。先王も自国の有能な臣下をと思ってはいたようですが、病弱な母親に先立たれた一人娘を、散々甘やかしてきた手前、強くは言えずに結局王配を立てられぬまま、お隠れになったそうです。』
『マイナー国を調べるにしては、随分掘り下げてあるな。』
『えぇ、実はシェザードが大使館の奥方達の薔薇の会なるものに呼ばれているらしく、ヴィロトリア女王の母親と生前親しかった大使夫人から話を聞かせて貰ったそうです。 私亡き後は、娘を宜しくと言われ、何度もかの国には訪れているようですが、甘やかされ過ぎと嘆いていたとか。
シェザードは偶然、我が国の大使館で薔薇の会があり、育てるのが難しいとされる、ルシファーという品種のアドバイスを僭越ながらとしたところ、各国大使館の奥様方に気に入られ、お茶をご一緒したとか。そのご縁で、ご紹介頂いた方にお話を伺えたと、報告を貰いました。』
偶然か?…カリフ、お前の喜ぶ顔が見たいが為だろうと思ったが、黙っておいた。
『ヴィロトリア女王の代になってから浪費癖は激しくなり、アレフ殿下の好みに合わせて変な欧州文化を取り入れて…国民には不平不満が爆発しているようでした、との事で色々聞けたそうです。当初はアレフ殿下も我が国の第二王子。富に満ちた我が国との交流を持てるかと思ったが、よくよく調べたら勘当同然の放蕩息子でこの代では夢も希望もないとヴィロトリア女王の側近達は諌めると、逆上するので手を小招いて見ているしかないようです。
ヴィロトリア女王は、察するにあまり頭のお宜しくない方のようですね。アレフ殿下の一方的な言葉を信じ、我が国の陛下にも、勘当するなんてヒドイという気持ちもあって暴言を吐き、臣下達は青ざめているのに、言ってやったわ位の温度だそうですよ。』
『かなり、手のかかりそうな案件だな……。』
まずはそのヴィロトリア女王を説得して、アレフ兄がどんな人間か分かって貰う必要がありそうだ。
また、国を思う忠臣であり賢い臣下の言葉に耳を傾けぬ等、どうかしている。
先王の財を食いつぶすつもりなのかと俺が説教でもしそうなので、そこはぐっと堪えるしかないだろう。
カリフと俺は資料を眺めながら、早くも疲れ切っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
142 / 685