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兄弟 賢人sideにしおりをはさみました!
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兄弟 賢人side
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「お、お父様……!」
俺たちは固まった。
言い逃れはできない。
俺は、仕置き部屋に行くことを覚悟した。
しかしー、
「ぼ…私が、賢人を部屋に呼びつけ、自分で買ったお菓子を分け与えました。」
「そうか。」
「に、にいちゃ…!」
「賢人。兄の呼び方はそうではないだろう。何度言えばわかる。お前は本当に出来の悪い子どもだ。」
親父が俺の元に歩み寄り、拳を振り上げた。
「お、お父様!!私が……そのように言えと、言いましたっ!」
親父がピタリと止まる。
俺は、ガタガタと震え、何も言えない。
怖いのだ。
親父も、仕置き部屋も、この家も。
「全て、お前が言い出したことだと?」
「はい、その通りです。……ぐぁっ!?」
親父は持っていた木刀で兄貴の腹部をついた。
頭、顔、腕、足、腰、体の至る所を殴られる。
血まみれになっていく兄を、俺は涙を流し、震えて
見るしかなかった。
「ゴフッ……」
体を丸めて横たわる兄を、容赦なく叩き続ける父。
父は何も発さず、表情もない。
コイツは本当に人間なのか?
…どれぐらい時間が経っただろうか。
「友太郎、貴様は明日から仕置き部屋だ。」
そう言い捨てて、部屋を出た。
「に、にいちゃ……お、にい、さま……」
俺は、兄貴に駆け寄る。
兄貴は原型が分からない顔をして、はぁ、はぁ、と荒い息を吐く。
「大丈夫?にいちゃ……お、おにいさ、ま。」
「大丈夫だ、大丈夫だよ……泣くな、賢人。大丈夫だから、な?賢。」
兄貴は横たわりながらも、ポロポロと涙流す俺の頭を撫でる。
「でも、にいち……おにいさま、から、血がいっぱい……」
「ふ……もう、『にいちゃん』でいいよ……どうせ、仕置き部屋だから……」
「ご、ごめん、なさいっ!俺の、せいでっ!」
兄貴はなんとか身体を起こす。
壁にもたれかかりながら、やはり、俺の頭を撫でてくれる。
「お前の、せいかも、しれないけど……でも、後悔してないよ……だって、だってさ……あんなに、美味しい食べ物が……この世界にある、なんて、知らなかった……。
賢人、ありがとう。」
「うぅ、うぇ……にいちゃ、ごめ……ん、ごめんなさい…!」
「大丈夫だよ、賢人……大丈夫……泣くな、男だろ?」
「うぇ、だって……」
「賢人。俺は…強くなる。お父……親父になんて、負けないさ。だからお前は自由に生きろ。お前には、自由が似合う。この家に縛られるな。」
グチャグチャの顔だけど分かる、真っ直ぐに強い目がある。
「にいちゃんだけが、しんどいのイヤだよ!」
「違うぞ、賢人。お前がいるから、俺は頑張れるんだ。俺たちは、2人で頑張るんだよ。」
「ふたり、で……?」
「そう…。何があっても、2人で頑張るんだ。」
俺は、ぎゅっと涙を拭った。
「分かった…。負けない。」
「よし。偉いぞ、賢人。…しかし、ホントに美味しかったなぁ、ポテチ……。」
この後、兄貴は1ヶ月仕置き部屋に入れられ、出てきた時には、
多発骨折でボロボロになっていた。
しかしその目には、強い意思が宿っていたのだ。
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